ヤングケアラーを支援する機関について
ヤングケアラーは「家庭」という密室で多くの時間を過ごすため、相談にのってくれたり、支援をしてくれたりする人がなかなかいないのが実情です。イギリスでは約40年前からヤングケアラーを支援する動きがありますが、日本ではまだまだ十分だとは言えません。しかし、日本でもヤングケアラーの実態が徐々に把握できるようになってきた影響で、彼らを支援する機関も増え始めています。
日本ケアラー連盟によるサポート
日本ケアラー連盟は介護などを担っており、ケアが必要な人を支える団体です。もちろん、ケアラーの中にはヤングケアラーの存在も含まれています。日本ケアラー連盟は、ケアラーの置かれている状況の調査を行うことで、彼らを支援する制度などの創設を進めることを目標にしています。他にも、ケアラーへの情報提供のためにフォーラムの開催なども行っています。
NPO法人などが支援していることもある
ヤングケアラーの支援には、NPO法人が関わることもあります。支援方法はそれぞれの機関によって異なりますが、ヤングケアラーが抱える悩みの相談にのったり、ヤングケアラー同士や同世代の子どもたちがお互いに会話をし、アドバイスなどをし合うというプログラムを用意している場所も存在します。
埼玉県ではケアラー支援の条例が制定されている
埼玉県はヤングケアラーが多いことから、日本初のヤングケアラー支援の条例が2020年に制定されました。この条例は、教師がヤングケアラーと思われる子どもの生活状況や支援の必要性を、学校や教育委員会への報告を義務付けたものです。ヤングケアラーの存在を支援機関へとつなぐことで、教育委員会に所属するケースワーカーなどと協力し、子どもの負担を減らせるよう家事代行サービスを手配するなどして、家庭全体のサポートを行うことを目標にしています。
おわりに
ヤングケアラーは年齢が若いにも関わらず、年相応以上のケアを担う必要があるため、過酷な毎日を送っています。そのため、彼らが背負っている役割はもっと理解や評価されなければなりません。今後も、よりふさわしい支援が数多く作られることが期待されます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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