宇多田ヒカルさんが、出産してから子育てを日本ではなく、ロンドンでしていることが話題になっています。日本と違い、ロンドンの方が子どもを育てやすいと言われますが、実際にどのような理由でそう思えるのでしょうか。周りの環境やロンドンの人たちの考え方を紹介しながらその理由について説明したいと思います。知れば知るほどロンドンで子育てしたくなってしまうかもしれません。
家庭の中における父母の在り方の違い
日本とイギリスの違いを比較できる点は多々ありますが、まず親子を語るうえで最も小さな単位となる「家族」だけの関係性の中でも、それぞれ立場の役割には大きな違いがありました。親が子に対して持つ価値観にはどのような違いがあるのでしょうか?
育児はどうしてもママに依存しがちな日本
いわゆる「イクメン」文化が定着し始めた日本ですが、やはり典型的な日本家庭のスタイルとしては、パパは朝から晩まで働いて生活費を稼ぎ、ママは専業主婦として家事と育児をこなすというのが一般的なイメージではないでしょうか。必然的に父と過ごす時間は短く、母とは長くなります。また、一人前には育てても、自立を促すかどうかは別問題というのが日本で、男子であろうが女子であろうが、いわゆる親離れ子離れといった言葉が存在することも日本の特徴でしょう。
パパが育児に参加する時間が確保されているイギリス
共働きの家庭が圧倒的に多いイギリスですが、労働時間に関しては日本ほど拘束がつらくないため、パパは早く家に帰り、その分必然的に子どもと接する時間が増えます。子どもの送り迎えや、本を読んであげたり、寝かしつけたりするのはパパの仕事です。一説によるとイギリスのパパの1日平均家事時間は150分以上で、家庭内における仕事をママとしっかり分担していることがわかります。
日本と比べて自立を促す傾向が強い
イギリスの子育てにおけるもう一つの特徴が自立を促すことです。子どもは悪魔と見なしている風習があると言われるくらい、イギリスは子どもに対するしつけが厳しい国です。日本よりもずっと個人主義が尊重される社会であるイギリスでは、安全面などに配慮して手厚く面倒を見ながらも、寝る時間や礼儀に関するルールは厳しくすることで、より早い自立が促されるのです。ちなみにパパとママも当然尊重されるべき個人であるため、育児に振り回されすぎないよう、子どもは早く寝かせて夫婦の時間を大切にするのもうれしい文化ですね。
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子連れのママが感じる、肩身の狭さの違い
公共の場や機関(バス・電車)における子連れ対する意識の違いは、日本とロンドンではかなり違っています。一概に日本の方が子育てに悪いというわけではありません。しかし、ロンドンでの子育ての方が初めて母親になる人にとっては、日本よりも神経質に周りを気にしなくても良いという一面はあります。
日本における、集団活動を阻害するものへの風潮
最近多発している児童を対象とした犯罪などの影響で、特に男性は子どもに対する声かけなどにちゅうちょしたり、あえて子どもとの接触を避けたりする人も多くなっています。また、女性も通勤途中や通学途中などで時間を気にしている人が多いため、周囲の子どもより迫る時間に気を取られてしまっています。無関心であればまだしも、よく聞くママの悩みが泣いている子どもを「騒音」と捉える、世間の冷たい目やベビーカーが公共の場における障害物であるとする認識があるのが、日本での子育ての厳しさです。
求めよ、さすれば与えられん、特に女性は
一方ロンドンでは、キリスト教の教えに基づいた、相互的な助け合いの文化や、レディーファーストのマナーが根強く定着しています。例えば駅などでは駅員はもちろん乗客がせかさず、バギーを乗り降りするにも待っていてくれます。そもそも駅が大きく設計されているため、バギーや荷物を運びやすく、他の人にぶつかりにくいです。また同じ苦労を分かち合える親同士が非常に協力的で、他の子ども連れを手伝ってあげている家族連れもよく見かけます。誰もが手を差し伸べることに、そして助けを求めることに抵抗を感じないのです。
責任のない子どもではなく、親に向く非難の目
日本の感覚では子どもが泣いたり大声で話したりすると、「親は何をしているんだ」と子どもよりも親の方に不満の矛先が向かってしまう場合が多いため、つい親の方をにらんだり、ため息をついたりして親に気が付かせる人もいます。結果として子ども連れのママは非常に肩身の狭い思いをしながら子どもと行動しなくてはなりません。しかしイギリスでは平等法によって、公共の場における授乳活動すら差別を受けないよう法律で守られています。それ故に、レストランやカフェで堂々とおっぱいをあげるような光景も珍しくはありません。
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3歳の生意気盛りですばしっこい息子を育てるママです。
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