子どもの声を聴く「子どもアドボカシー」を知ってますか?

子どものためのアドボカシー
あなたは、「子どもアドボカシー」という言葉をご存じでしょうか?最近耳にするようになった言葉なので、知らない方も多いかもしれませんね。子どもアドボカシーとは、簡単にいうと虐待された子どもの権利を守るための支援を行うことをいいます。今回は、そんな子どもアドボカシーについて、詳しくご紹介します。

子どもアドボカシーってどんなもの?

考える子ども
「アドボカシー(Advocacy)」とは、主張・擁護・弁護などの意味を持つ単語で、それに「子ども」という言葉をつけたものが、子どもアドボカシーです。子どもの声を聴くという意味を持つ子どもアドボカシーとは、具体的にどのような取り組みなのでしょうか?

立場の弱い子どもの声を聞き権利を守る

子どもアドボカシーとは、子どもたちの意思を第三者である大人がくみ取り、子どもの権利を守るように支援することです。例えば、虐待を受けている子どもに対して、一人の人間としての「権利」があることを伝えたうえで、子どもの意見に耳を傾け、気持ちを受け止めます。子どもが自分の意見を周りの大人に伝えたいという場合に、どうすれば伝えられるのかを子どもと一緒になって考え、子どもが選択できるように情報を提供したり、行動を支援したりするのです。

子どもの気持ちを代弁するアドボケイト

本人の声に向き合う子どもアドボカシーにおいて需要なのが「アドボケイト」と呼ばれる、子どもの声を代弁する専門家です。虐待などで子どもの処遇を話し合う場などでは、子どもだけでは言いたいことが伝わらない場合も多いため、アドボケイトが子どもに付き添って子どもの気持ちを代弁します。もちろんこれは、事前にアドボケイトが子どもから聞いた経験や気持ちをもとに、子どもが決めた意見を子どもの代わりに伝えることになりますので、アドボケイトは100%子どもの味方である人でなければなりません。

子どもアドボカシー制度を導入している国も

イギリスでは、2002年から「子どもアドボカシー制度」が導入されています。アドボケイトがいるアドボカシーセンターが各自治体に設置され、虐待を受けた子どもはアドボカシー制度を利用するかどうかを自分の意思で決めることができます。虐待を受けた子どもについて協議する場に子ども本人が参加可能なので、子どもは自分の意見を述べることができるのです。このようなアドボカシー制度は近年日本でも注目され出し、制度化する動きも見られるようになっています。

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子どもアドボカシーはなぜ必要なの?

子どもへの虐待
親から虐待などを受けた子どもたちの権利を守る子どもアドボカシーですが、現在の日本にはイギリスのような制度はありません。しかし、子どもアドボカシーを制度化しようという活動が活発になってきているのには、理由があります。

相次ぐ児童虐待防止策の一環

今年8月、厚生労働省が2018年に全国の児童相談所で対応した児童虐待の相談件数が15万9850件と過去最多であることを発表しました。近年は、メディアでも児童虐待のニュースが頻繁に取り上げられるようになりましたが、日本には虐待を受けている子どもの意見を聞き入れる環境がありません。子どもが虐待されていることを自ら外部に伝えようとしても、見過ごされてしまい、その結果、幼い命が消えていくという悲しい事件も起きています。そのような事件を防ぐためにも、子どもアドボカシーは必要とされているのです。

子どもは自分の意見を表明する権利を持っている

子どもは、自分に関係する事柄について自由に自分の意見を表明する権利を持っているということは、子どもの権利条約第12条で定められています。子どもの権利条約とは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められたもので、18歳未満の子どもが心身ともに健康で自分らしく育つための権利です。子どもの声を聞こうとしていない大人に、子どもの声が届くように支援するアドボカシーは、子どもの権利を守るために私たち大人がしなければならないことなのです。

子どもに意思決定させる環境が必要

上記で説明した子どもの権利条約ですが、実際に私たち大人はどれだけ子どもの声を聞いているのでしょうか?家庭や保育所などで、大人が決めたことに子どもを従わせているということはありませんか?現在の日本では意思決定に子どもが参加するということがほとんどされていないため、それが当たり前だと思って生活している人も多いかもしれません。しかし、これだけ児童虐待が増えている今、日本でも子どもの意思をくみ取る仕組みが必要となっているのはいうまでもありません。

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