「子どもに運動を楽しんでほしい」「子どもの運動神経を良くしたい」と感じているママやパパは、多いことでしょう。しかし、具体的にどうすればいいのか分からないというケースがめずらしくありません。そういう場合におすすめなのが、コーディネーショントレーニングです。
ここでは、遊び感覚で取り組みながら運動神経を鍛えることができる、コーディネーショントレーニングについてご紹介します。
遊び感覚で出来る?コーディネーショントレーニングとは
コーディネーションとは、調整、一致のことです。また、コーディネーション能力は、その時の状況に合わせた身体の動きや力加減を調整する能力とも言えるでしょう。
つまり、身体がより良く動くのは、脳と神経がつながっているからだとされています。子どもは走ったり飛んだりなどの遊びを通してこのつながりを強固にし、鍛えることができます。彼らのさまざまな動きが、コーディネーショントレーニングになるのです。
コーディネーショントレーニングの始まり
コーディネーションの理論は、もともとは旧東ドイツで考えられ、アスリートを対象とした運動能力向上のためのものでした。
1970年代のことです。脳は身体の動きと関連性があり、外から入った情報をいち早く処理し、身体中の神経に行きわたらせることをします。このしくみにより、身体を希望通り自由に動かすことが可能になるのです。
スポーツ選手は幼い頃から実施している
最近では、教育現場などにコーディネーショントレーニングが取り入れられるケースも増えてきました。
また、興味深いことに日本の有名なスポーツ選手の6割程度は、幼い頃に毎日2時間以上身体を使って遊んでいた例が多いと言われています。
身体を使った遊びを繰り返していたことによって、脳と神経が強く結びつき、運動のセンスが発達したことが予想されますね。
コーディネーショントレーニングに効果的な年齢
コーディネーショントレーニングにふさわしい年齢は、12歳頃までだとされています。
身体の中の神経系は5歳頃までに大人の80%、12歳頃にはほぼ100%にまで到達します。そのため、幼児期から児童期にかけてトレーニングをすると良いでしょう。
12歳頃に神経系が大人と同じぐらいに発達した後は、ほとんど神経系は変化しません。つまり、いかに幼い時期に幅広い身体の動きを行ったかで、運動神経の良さが左右されるのです。
合わせて読みたい
遊びを通して養うコーディネーショントレーニングで獲得できる能力
身体を動かす遊びを通してコーディネーション能力は鍛えられ、運動神経も発達します。
しかし、運動能力にはさまざまな種類があり、コーディネーショントレーニングで獲得できるのは、7つの能力です。
定位能力と反応能力、連結能力
例えば、ボール投げをする際に相手や物の距離が異なれば、受け取るときに必要な力が変化してきますよね。定位能力とは、相手や物と自分の位置や距離を感じたり、把握したりする能力です。
また、反応能力は人の動きなどを素早く察知し、正しく対応する能力のことを言います。さらに、連結能力は異なる動作をつなげて、スムーズに対応できる能力です。
識別(分化)能力とリズム能力
識別能力は、例えばボールを早く投げたり、ゆっくり投げたりするなど、その時に必要な力を出し入れする能力のことを言います。また、道具を使って場面に応じた操作をするのも、この能力のひとつです。
一方、リズム能力は見た動きに対して自らの身体で表現したり、タイミングを図ったりができる能力のことです。
不安定な物の上や空中などで姿勢を保ったり、バランス良く動いたりできるのがバランス能力です。また、変換能力とは急な状況の変化にもすばやく対応し、ふさわしい動きを取ることのできる能力を言います。
上記の7つの能力は別々に働くものではなく、運動などをする際にいくつかが連動し、身体を希望通りに動かすことが可能になります。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。