学校から帰ると、ずっとひとりでゲームばかり……。そんなわが子の姿を見て、心配になる保護者も多いのではないでしょうか。放課後、友達と遊ばないと、社会人になっても人間関係をうまく結べなくなるかも……と不安に感じる保護者に向けて、子どもたちの放課後事情と大人の関わり方をまとめました。
放課後に友達と遊ばない……不安視する前の観察ポイント
放課後、誰とも約束をしてこない、公園や児童館に出かける気配もない、ひとりで家にこもって毎日パソコンやゲームに向かっている、というわが子を見ると、心配になる気持ちはよくわかります。友達がいないのではないか、学校でいじめにあっているのではないか、性格に問題があるのではないか、とさまざまな不安がわいてきますね。こうした不安な気持ちに対処するには、まず子どもの様子をよく観察してみる必要があります。
食欲・睡眠・表情・行動に問題がなければ〇
お子さんは、ごはんをよく食べますか?また、夜はよく眠れていますか?食欲や入眠に手こずるなど、基本的な生活習慣に問題があるようなら、要注意です。子ども自身がなんらかのストレスを抱えている恐れがあります。表情がいつもくもっている、もしくは無表情で感情が表にあらわれない場合や、イライラして怒りっぽい、横になってばかりいる、といった表情や行動にも注目してみましょう。
食欲があり、よく眠れていて、放課後ひとりで過ごしていてもリラックスしているようであれば、過度に心配する必要はないでしょう。ただ、翌日学校へ行きたがらない素振りがあれば、学校生活でなんらかのストレスを感じている可能性があります。また、以前はよく友達と遊んでいたのに急に遊ばなくなった場合は、友達とケンカをしたのかもしれません。行動の変化についても、よく観察してあげてください。
好きなことをして過ごせていれば良し
友達と遊ばない子どもは、家でなにをして過ごしていますか?YouTubeを観る、マンガを読む、テレビを観る、ゲームをする、本を読む、などが主な行動ではないでしょうか。保護者としては、できればもっと生産的なことをしてほしいと思いがちですが、まずは好きなことをして過ごせていればよい、と考えましょう。放課後に友達と遊ばないとコミュニケーション力が育たないのではと不安になりますが、子どもたちは毎日学校で友達とコミュニケーションをとって生活しています。大人同様、子どもにも家でひとりのんびりする時間が必要です。
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放課後に友達と遊びにくい現代子ども事情
学校から帰ると、玄関にランドセルを放り出してすぐに友達の家や近所の公園へ遊びに行き、暗くなるまで帰ってこない……という小学生のイメージは、もう古いかもしれません。時代の流れとともに、子どもを取り巻く環境は変化しています。放課後に友達と遊ばないのは、子どもの性格というよりも、環境が影響しているのかもしれません。
習い事や塾で忙しい子どもが増えている
2020年8月におこなわれた学研総合教育研究所のweb調査によれば、学校以外に塾や習い事をまったくしていない小学生は、全体の約26%でした。低学年のうちは30%前後ですが、小学校4、5年生になると、なにもしていない子は全体の15%程度になっています。設問に平日と休日の区別がないため、土日の塾や習い事も含まれた回答ですが、多くの子どもたちが塾や習い事をしていることがわかります。ひとりの子が複数の習い事をしていることも多く、子どもたちの放課後が忙しくなっているのは事実です。放課後に友達と遊ばないのは、仲のよい子とスケジュールがあわないことも原因のひとつになっているようです。
空間・時間・仲間 「さんまの喪失」
子どもを取り巻く環境の変化を表す言葉に、「さんまの喪失」というものがあります。これは空間・時間・仲間の、三つの「ま」が失われている状態です。「さんま」とは自由に遊べる広場、公園などの空間、自由に使える時間をあらわしています。都市部では宅地開発などで広場や空地が失われ、子どもたちは塾や習い事に追われ、地域のつながりが希薄になるなか、異年齢の遊び友達を作ることが難しく、放課後の遊びが消えていくという現象が続いています。「さんまの喪失」は、子どもたちにはどうすることもできない外的要因です。逆にさんまのどれかが残っていれば、友達と遊びだす子がいるかもしれません。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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