女きょうだいで「お姉ちゃんはできたのに」「妹のように愛想がよければ」などと、思ったことはありませんか?平等に育てることが大切だとわかっていながらも、このように感じてしまうことは仕方ありません。
しかしそれを言葉や態度にあらわすと、子どもの一生に傷をつけることになってしまうかも。ここでは、姉妹格差を感じると子どもはどのようになってしまうのか、姉妹格差をしてはいけない理由について、ご紹介します。
言っていない?姉妹格差を感じさせる瞬間
どのようなときに、子どもは姉妹格差を感じるのでしょうか?それは何気なく伝えた一言や、冗談のつもりのときもあります。または、子どもをよい子に育てたいと思っての言葉や行動であることも。
あなたも、知らず知らずのうちに言っていませんか?態度や行動に出ていませんか?子どもたちとのやりとりを思い返してみましょう。
「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」
姉妹がケンカをしたとき、「お姉ちゃんなんだから」と言ったことはありませんか?確かに姉のほうが年上です。妹は幼く、ワガママでも仕方がないことです。しかし結局、妹という何でも許される存在と、姉と言う何でも許さなくてはいけない存在を、身近につくってしまったことにほかなりません。それは、立派な格差です。
「年上」と完全に割り切れるのは、大人になってからできることです。大人が「年上はこうあるべき」と納得するのも、人生経験からですよね。しかし子どものころから、このような姉妹格差を続けられていた子どもは、大人になってからでも同じように親に扱われることも多々あり、我慢ばかりして自分の意見を言えないようになってしまいがちです。
「妹/姉はかわいいのにね」
容姿の違いは、分かりやすい差でもあります。特に、女の子は外見のかわいさのほかに、愛嬌がよい方が大切にされやすい傾向にもあるでしょう。そのためそれらを満たす姉や妹の方に力を入れてしまいがちです。
もちろん、親としては、どちらも「子どもとしてはかわいい」と思ってはいるはずです。だからこそ「姉/妹はかわいい」と軽く言ってしまうことがあるかもしれません。しかしその言葉は子どもに容姿へのコンプレックスを深く刻みつけ、自尊心を奪ってしまう可能性もあります。
比較することで、やる気を出させようとする
親は、つい優れている子とそうではない子を比べがちです。さらには「姉/妹の方が成績がよかった」と伝えることで、片方がやる気を出すのではないかと考えることもあるのではないでしょうか?しかしそれは本当に子どものためでしょうか?
親は「苦しさや悔しさをあたえても、とにかく行動を起こさせたい」と思っているかもしれませんが、当の子どもは比較されていると感じるものです。また優れている方の姉や妹に対して無意識に力を入れ、塾や習い事について片方よりお金をかけるような行動をしてしまったら、「親は比較の対象でしか自分を見てくれない」というむなしい気持ちが、いつまでも残る場合もあるでしょう。
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姉妹格差をしてはいけない理由とは?
人には違いがあり、格差が起こってしまうのは仕方ないことです。しかし親によって、子どもの人生が180度変わってしまうこともあります。どうして、これほど親の言動が、子どもに影響をあたえるのでしょうか?決して、親の言うことがすべてというわけではありません。姉妹格差をしてはいけない理由について、ご説明します。
まわりを見下したり、劣等感をもつようになる
家族に比較する対象がいて、親は自分を優先し、もう一人は後回しにしているという状況を子どもに悟られると、社会に出ても子どもは親と同じことをする可能性があります。友達と自分をくらべて、他人を見下すようになるのです。
または自分が姉妹と比較して劣っていると感じていると、他人を妬んだり、羨ましがったりして、生きていくなかで自己肯定感が育ちにくい場合もあるでしょう。
このように子どもは親の言動によって、これから生きていく社会の中でも同じ行動をしてしまい、一生涯を左右します。
社会の中でも成長しにくくなる
学校では、テストの点数や足の速さ、かわいいさなどで、クラスカーストの上位になることもあります。子どもたちは集団教育のなかで、ハッキリと人との違いを認識することになるのです。
そのうえで、親も一方の姉妹より能力や成績が悪い子に対して、「○○と違って、やっぱりあなたはダメね」と見下すような態度を取ってしまうと、社会でも家庭でも子どもは虐げられてしまうでしょう。
「もっと勉強しよう」「頑張ろう」と思うには、絶対的な自信がいるのです。姉妹格差をすることによって、子どもは自信の持ち方さえ分からなくなってしまうかもしれません。
視野が狭くなってしまうことも
子どもの頃に感じた親の言動は、その後の子どもの価値観を創る原因にもなり得ます。例えば、親が優秀な姉/妹の方ばかり力を入れたとしたら、もう一方はどんなに自分が物事を上手くやれたにしても、「まだまだ出来ていない」と感じてしまいがちです。つまり、他人から見れば、立派に出来ていたとしても本人の価値観のゆがみによって、視野が狭くなっているのです。
視野が狭いと、新しい視点を見出すことが不得意になるので、社会生活や人間関係に支障をきたすことも出てくるかもしれません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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