親ならば、自分の子どもが優秀であってほしいと願うものですよね。しかし、「勉強しなさい」「礼儀正しくしなさい」と注意ばかりしていては、逆に子どものやる気を損ねてしまうこともあるでしょう。今回は子どもを全米最優秀女子校生にした、ボーク重子氏の子育て法についてご紹介します。
ボーク重子氏とはどんな人?
ボーク重子氏はアメリカ人の夫を持ち、アメリカで生活しながら娘を全米最優秀女子高生に輝かせたという経歴の持ち主です。全米最優秀女性高生とは、大学進学を目指す女子高生が時事問題やダンスなどの特技を発表し、学力やコミュニケーション能力などが競われ、優秀な生徒に奨学金が贈られるというコンクールです。ボーク重子氏は、50年以上の伝統があるコンクールの頂点に娘を導いたことで、注目されています。
完璧を求められた少女時代を過ごす
ボーク重子氏は、幼い頃から親に「一生懸命勉強をして良い会社に入り、すてきな人と結婚することこそが幸せ」といわれながら育ちました。当時は、幸せになるためのレールを親に敷かれている時代で、そのレールを外れずに進むことが当たり前の考え方だったそうです。もちろん、重子氏も疑いなく、親のいうレールの上を歩みながら生活をしていました。
中学生で挫折を経験し、自信をなくす
親に言われた道を進むため、ボーク重子氏は勉強に励み、中学生の頃も優秀な成績をおさめていました。しかし、ある日テストで点数が取れなくなり、ショックを受けてしまったのです。このひとつの出来事がきっかけで、彼女は勉強をするのがつらくなりました。
高校では音楽に目覚めバンドを始めましたが、ご両親の理解を得られずにいたようです。
結婚後、やりたいことをようやく見つけられた
勤めていた企業を退職し、イギリスにアートを学びに行った重子氏は現在の夫と結婚し、アートギャラリーをアメリカに持ちたいという夢が見つかりました。やりたいことをついに見つけた彼女は、自分に自信が持てるようになったのです。そこで、娘には自分のような人生を歩んでほしくないという気持ちが強く、娘へのより良い教育法を模索し始めました。
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非認知能力を伸ばす子育てを実践
非認知能力とは、IQやテストの点数で測る認知能力とは違い、子どもの存在や個性を認める、社会性、自尊心などを育む教育のことをいいます。つまり、数値化できない人間としての基礎能力をつけることで、子どもは幅広い分野に自信を持ち、さまざまな解決策を学んでいくことができるという考え方です。ボーク重子氏が実践した非認知能力を育むための子育てには、どのようなものがあったのでしょうか?
小学1年生から娘に朝食作りをまかせる
ボーク重子氏は、娘が小学1年とときから毎週日曜日に家族3人分の朝食の準備をまかせました。500円程度で作れる食事を娘に考えさせ、火や包丁を使わずにできるものを工夫して作らせたのです。食事ができたら、「これはどのようにして作ったの?」「作っている途中に、こんな発見があったんだね」などと娘を認める言葉かけをし、彼女の自己肯定感を高めていけるように努めました。
家庭内では子どもに対してルールを決める
家庭は、子どもの社会生活を作る大切な基盤です。ボーク重子氏は家庭が幸せというゴールに向かうには、家庭内のルールを定めることが重要だと考えました。例えば、宿題は一人でする、着る洋服は自分で決めるなど、子どもがやれることは一人でするというルールを守るように心がけたのです。もちろん、子どもだけではなく親も決めたルールは守るようにします。
ここで大切なのは、子どものルールを決めるときは親が押し付けるのではなく、子どもを中心として決めてもらいます。そうすることで、子どもにも「自分が選んだ」という責任感が育っていくのです。
子どもが出した結果だけを褒めないこと
子どもがテストで良い点数を取れた、習い事で優秀な成績をおさめたなどの出来事があれば、親は「こんなに高い点数が取れて偉いね」「コンクールで優勝できて良かったね」と結果に焦点を当てて褒めてしまいがちです。しかし、もっと大切なことはそこに至るまでの努力を褒めてあげること。そうすることで、子どもは物事により興味を持ち、自信につなげることができます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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