「思考コード」をご存じですか?思考コードは、未来を生きる子どもたちに必要な、学力の新基準です。聞きなれない言葉ですが、中学受験を考えている方には、ぜひ知っておいてほしい考え方といえます。思考コードについて、くわしく解説します。
思考コードとはなにか
2018年に実施された国際学習到達度調査(PISA)において、日本の子どもたちの読解能力スコアがかんばしくなかったことが話題になりました。真の学力とはなにか?という命題を考えるにあたり、「思考コード」はひとつのポイントになる新しい基準です。
首都圏模試センターが提唱する学力新基準
思考コードは、首都圏模試センターが提唱する学力の新基準です。首都圏模試センターは、首都圏の私立・国公立中学入試の模擬試験を開催しています。これまで、受験校選びの基準となるのは、いわゆる偏差値と呼ばれる数値でした。偏差値が高ければ高いほど、学習到達度が高いと判断され、合格率の算定にも使用されている数値です。しかし、近年になって子どもたちの学力を新しい基準で判断するべきではないかという視点が生まれました。知識量だけではなく、総合的な思考力で子どもの学力を評価する考え方です。この考え方にともない、偏差値に変わる学力基準として提唱されたのが思考コードです。
難関校の出題傾向を把握するために開発
思考コードは、もともと難関校の出題傾向を把握するために開発された基準です。首都圏の難関私立と呼ばれる名門中学校は、早い時期から子どもの知識量のみならず、思考力や想像力、応用力を推し量るための入試を行ってきました。記述式といわれる問題です。ただ、こうした思考力を問う問題は難易度の分析や分類が難しいものでした。分析が十分できていないと、対策もままなりません。受験対策をしっかり行うために開発されたのが、思考コードという学力の分析基準なのです。
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思考コードによってわかる子どもの学力
思考コードは、縦軸と横軸が組み合わさった表になっており、A1~3、B1~3、C1~3の9つの領域に分かれています。試験問題を分析する場合は、それぞれの問題がどの領域に属する問題なのか、判断します。
知識と思考力の深度がポイント
まず、横軸となるのは3つの領域です。Aは「知識・理解思考」Bは「論理的思考」Cは「創造的思考」になっています。A→B→Cと進むにつれ、求められる思考力が深まっていくことがわかります。縦軸となるのは、同じく3つの領域です。1は「単純」2は「複雑」3は「変容」です。1→2→3と進むにしたがって、難易度があがります。
この縦軸と横軸の組み合わせで、9つの領域ができあがります。入学試験の問題は、基準によって分析・分類され、正誤の結果で子どもたちの学力がわかります。偏差値のような単純な数値にはあらわれにくい学力です。
思考コード9つの領域の考え方
思考コードのそれぞれ領域は、フランシスコ・ザビエルに関する問題を例にあげて説明されています。
例えば、ザビエルの写真を見て「この人の名前を答えなさい」という問題は、単純な知識を問う問題ですので、A1領域にあたります。「選択肢からザビエルの業績をすべて選びなさい」という問題なら、同じく知識を問うものですが、一段階進んで複雑なA2領域にあたります。「業績を年代順に並べよ」と展開されれば、さらに段階はあがり、A3領域です。
ザビエルの業績について、意図を推測させたり、キリスト教と大名統治の関係まで展開して記述させたりすると、論理的な思考が求められるB領域の問題になります。ここに、「自分がザビエルだったらどうするか?」という創造的な視点を求められると、C領域の問題に発展したと分析されます。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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