【離婚率でみる】興味深い傾向はある?
離婚率のデータをみると、興味深い傾向があります。単純に離婚した夫婦の組数をみているだけでは分からない、興味深いデータがそこにあるというわけです。世界的にみた日本の離婚率や、都道府県別に離婚率が高いランキングなど、ここからはさまざまな切り口で、夫婦の離婚についてみてみましょう。
離婚率は右肩下がりで減少している
実は平成元年ごろから離婚率が右肩上がりで、一番離婚率が高かったのは平成14年。平成14年は、年間で約28万組もの夫婦が離婚という選択肢を取りました。婚姻届を提出して新婚旅行に向かい、帰ってきた成田空港で離婚をするという、いわゆる「成田離婚」という言葉がはやったのも、この平成の初期でした。離婚率も平成元年が1.29なら、平成14年は2.30です。
しかし、そこから徐々に右肩下がりが続き、平成30年では離婚は約20万件、離婚率も暫定値で1.68と減少傾向にあります。
婚姻件数の年次推移
ちなみに婚姻数も徐々にですが右肩下がりです。平成元年の婚姻率が5.8で、平成30年の暫定値は4.7と、30年間で婚姻率が下がったのも事実です。そして、婚姻するカップルのうち、再婚というケースが年々上昇しているというデータもあります。平成7年の再婚割合が夫13・2%、妻11・6%なら、平成30年は夫19・7%、妻16・9%となっています。
全婚姻数に対する、夫婦の再婚件数の割合の年次推移
夫 | 妻 | |
平成7年 | 13.2% | 11.6% |
平成17年 | 18.2% | 16.0% |
平成26年 | 19.3% | 16.6% |
平成27年 | 19.7% | 16.8% |
平成28年 | 19.5% | 16.8% |
平成29年 | 19.5% | 16.7% |
平成30年 | 19.7% | 16.9% |
離婚率が高い都道府県ランキングは?
厚労省の資料では、都道府県や特別区や指定都市別の離婚率もまとめられています。そのためこのデータをよくみていくと、離婚率が高い都道府県ランキングができます。
まとめたところ、下記のような都道府県が離婚率が高いということが分かりました。
1位 沖縄 2.53
2位 福岡 1.91
3位 北海道 1.90
4位 宮崎 1.89
5位 大阪 1.88
1位 大阪市 2.12
2位 札幌市 2.05
3位 北九州市 1.92
4位 名古屋市 1.85
5位 福岡市 1.84
最南と最北、大都市で離婚率が高くなっています。
日本の離婚率は世界的にみても低い方
厚労省「人口動態統計」の中に「人口動態総覧(率)の国際比較」があります。
これは、日本や韓国、シンガポール、アメリカ、フランス、ドイツ、イタリア、スウェーデン、イギリスの9カ国間で、出生率や離婚率などさまざまな人口動態を比較したものです。
これをみると、人口1000人あたりの離婚率が日本が1.68(暫定値)なら、日本より低い離婚率の国はイタリアのみ。イタリアは離婚率1.63となっています。しかも日本の婚姻率が4.7に対し、イタリアは3.4と、日本の婚姻率の方が高いという興味深いデータもあります。
また、イタリア以外の韓国やアメリカ、スウェーデンなどは、全て日本より離婚率が高く、アメリカの離婚率は2.9にも登ります。
国 名 | 離婚率(人口千対) |
日本 | 1.68 |
韓国 | 2.1 |
シンガポール | 1.9 |
アメリカ | 2.9 |
フランス | 1.93 |
ドイツ | 1.86 |
イタリア | 1.63 |
スウェーデン | 2.41 |
イギリス | 1.81 |
おわりに
結婚して何年目の夫婦が一番多く離婚するか?というデータでみると、最も離婚件数が多いのは、結婚をしてから5年未満の夫婦ということが分かりました。しかし、それ以外にもさまざまな理由で、離婚に踏み切る夫婦も年々増加傾向にあります。離婚は一つの選択肢ではありますが、結婚自体をもっと深刻に考える必要もあるかもしれません。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
ピックアップ
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。