実際にオンライン離婚はあり?なし?
オンライン離婚で離婚率が上がっても、デンマークの幸福度は下がっていません。ただ日本では、まだまだポジティブな離婚は難しいところでしょう。文化によって印象が変わる、オンライン離婚。本当に良いことなのか、また日本にこのシステムが取り入れられる日が来るのかについて考察します。
「離婚は早い方が良い」という声も
デンマークでは別居期間が3カ月設けられることに「子どもを3カ月も宙ぶらりんな状態にして、家族に不安をあたえるだけだ」という声もありました。たしかに離婚を先延ばしにしても、ほとんどは関係を修復できないことが多いものです。
また、子どもの前で両親がケンカをしたり、子どもにパートナーの悪口を言ってしまったりと、子どもの心や教育にとって不適切なことも起こりがちとなります。オンライン離婚は、そんな不幸から子どもを救うこともあるでしょう。
英国では9割がオンライン離婚に満足している
イギリスでは2018年に、ワンクリック離婚の試験運用が開始されました。手続きから離婚を証明する文書の発行まで、すべてオンラインで完結し、利用者の9割が「満足」と答えています。
また離婚の手続きをする裁判所も、確認や記入ミスにかかる時間がへり、業務の効率がグッと上がる結果に。2018年1月以降、離婚届が差し戻されたのは、わずか0.6%だったといわれています。他の業務に人員や時間をかけることができるようになるので、裁判所だけではなく、住民の幸せにもつながっているようです。
日本にオンライン離婚が広まる可能性は?
日本には専業主婦という文化もあり、離婚後の経済的な自立が難しいケースも多くあります。また共働きであっても、まだ女性のほうが家事の役割分担が大きく、デンマークのような平等には遠いという問題点も。そのため現在オンライン離婚が施行されたとしても、すぐにクリックできる人は少ないでしょう。
ただ「男性は仕事、女性は家事中心」といった考えが少なくなり、女性の社会進出がさらに進めば、選択肢は広がります。そして、国の育児にたいする制度がより整ったとき、日本でもオンライン離婚が広まるかもしれませんね。
おわりに
デンマークとくらべると、国の制度が整っていない、平等で自由な文化ではない、女性の社会進出が進んでいないなど、日本には大きな課題があります。しかしこのような問題が解決し、国や文化が変わっていけば、日本でもポジティブな「オンライン離婚」ができる未来も近いでしょう。
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
ピックアップ
https:/tamagoo.jp/lifestyle/preinclination-of-divorce/
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。