転職する際にもらう退職金、ここにも注意
転職すると退職金が少なくなる三つの要因をご紹介しました。ところで、これら以外にも転職する際、退職金をもらったら気をつけておくべきポイントがあります。それは、退職金を受け取る時期と、退職金にかかる税金です。
退職金を受け取る時期に注意
退職金がいつ支払われるか、ご存じでしょうか。退職金制度そのものが法律で定められているわけではないため、退職金制度の有無や金額の算定方法と同様、支払いの時期も会社が独自に決めています。就業規則などに記載されていることが多いので、確認しておきましょう。一般的には、退職後1~2カ月後に支払われるケースが多いようです。
勤めている会社が退職金をどのように用意しているかによって、受け取る時期に差が出ます。社内で用意している場合、迅速に支払われることが多いですが、退職金共済(社外の組織にお金を積み立て、退職時に受け取る制度)などを利用している場合は、共済を運営している組織に退職金を請求することになるため、長ければ2カ月半程度待つ必要があります。
退職金に税金がかかることもある
退職金の受け取り方には、「退職一時金」と「退職年金」がありますが、退職一時金には、受取時に税金がかかることがあります。ただし「退職所得控除」という税制上の優遇を受けることができるため、退職一時金から一定の額が「退職所得控除」として差し引かれ、その額に対して税金が課せられます。退職所得控除額の計算方法は以下の通りです。
40万円×勤続年数 ※80万円未満の場合、退職所得控除額は80万円
800万円+70万円×(勤続年数-20年)
退職所得控除額が計算できれば、以下の計算式に入れて、税金の対象となる退職金の金額を出します。
(退職金(源泉徴収前の金額)-退職所得控除額)×1/2=課税対象となる退職金の金額
例えば、大卒で転職のために勤続15年で退職し、退職金が300万円(源泉徴収前)だった場合、退職所得控除額は40万円×15=600万円となり、退職金に税金はかかりません。退職時に「退職所得申告書」を会社に提出すれば、退職所得控除を適応するための手続きは会社がしてくれ、控除済みの状態で退職金を受け取ることができます。
奥さんも社員で働いている場合
夫婦共稼ぎで働いている場合で奥さんも定年まで働きたい!と考えているならひとつの会社で働き続けたほうが退職金は多くなるはずです。現在の仕事が働きやすいのであれば、出産後も産休、育休、時短制度を上手に使って「働き続ければ」経済的にはメリットがあります。
おわりに
転職すると、ひとつの会社に定年まで勤め続けた場合に比べて退職金は少なくなってしまいます。もともと、退職金は長年勤めたことに対するねぎらいという要素が強いためでしょう。近年、会社の貢献度も退職金の金額を計算する際に考慮しようという流れがありますが、勤続年数も重視する傾向は依然としてあります。
転職活動を開始する前に、勤め先の会社の就業規則などをチェックして退職金制度について確認し、転職プランを考えましょう。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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