『話し上手よりも聞き上手になれ』という言葉があるように、さまざまな人間関係において「聞く力」は重要なポイントになります。また、聞く力は相手の立場に立つと同時に、その会話に対して深い理解を示すことでもあります。そのため、お互いに気持ちの良い関係が築けるとも言えるのです。
今回は、仕事上やママ友付き合いにも役立つ、大人の「聞く力」とはどういうものかについてお伝えします。
大人の聞く力は人生を豊かにする
「話が上手な人は華やかでいいな。」「話題が豊富な人は他人に好かれるよね。」などと、話し上手な人に憧れを抱くことは多いかもしれません。確かに話し上手は、自分からさまざまなことを発信できる点が長所になります。
しかし、人とコミュニケーションを図るという意味においては、聞く力に代表される双方向的なやり取りが大切になるのです。特に、大人は幅広い場所で多くの人と会話をする機会が増えますので、スムーズに会話のキャッチボールが進む「聞く力」を持っていると、人間関係の質を上げることもできるでしょう。
聞く力のある人は満足感を与えることができる
多くの人は、自分のことを知ってほしいと思っているもの。そのため、自分の話をしたがります。例えば、仕事で自社商品のことを伝える際は、それがどんなに素晴らしい物なのかを一生懸命説明しますし、ママ友同士なら家庭の悩みや苦労を積極的に話すことで、自分を理解してほしいと思ってしまうこともあるでしょう。
ただ、自分の話をするばかりの状態が続いたら、一方通行的な感覚を味わうことも少なくありません。それゆえに、聞く力がある人が周囲にいれば双方向的な感覚や満足感が得られるので、重宝されやすいのです。
人を安心させるのは聞く力がある人だからこそ
人は自分に関する話をしたがりますが、きちんと相手にその話を受け止めてほしいと願っているものです。
自分の考えや行動がどう思われているのか、このままのやり方で進んでもいいのか確認をしたいと感じています。そのため、話を聞いてくれる人がいれば、自分の進む道に自信を持ち、安心することができるのです。
重要な物事を頼まれ、信頼感を得る
人の話を聞く力を持っている人は、満足感や安心感を持ってもらいやすいことから、「この人に頼んでおけば大丈夫」という意識を持たれがちです。それにより、仕事上で重要な役目やポストを任されたり、ママ友付き合いの中でも悪口のターゲットとなったりすることが少なくなります。
また、大切な物事を頼まれるのと同時に、信頼感も厚くなるのです。
合わせて読みたい
大人の聞く力には具体的にどういうものがある?
聞く力には、たくさんの種類があります。例えば、相手の言葉を繰り返したり、要約しながら尋ねたりするのも、聞く力のひとつです。
また、聞く力は日常生活以外の心理学やカウンセリングの世界においても、重要なスキルだとされているのをご存知でしょうか?ここでは、専門的な意味としての聞く力をいくつかご紹介します。自分の聞く力を鍛えるための参考にしてみてくださいね。
心と耳を傾けて聞く傾聴力は基本
傾聴力とは単に人の話を聞くことではなく、心と耳を傾けながら相手の話を聞くことです。例えば、相手の目をみたり、うなずいたりしながら「しっかりと聞いていますよ」「もっと聞かせてください」という態度を示し、積極的に聞こうとすることを言います。
どうしても受け身になりがちな「聞く」という行動ですが、傾聴力を意識することで、能動的な行動へと変化が可能です。
バックトラッキングでコミュニケーションを活性化
バックトラッキングは、オウム返しのことを言います。相手の話の言葉をところどころそのまま繰り返してみたり、要約したうえで伝え直すことをするのです。会話上の言葉を繰り返されることで、相手は自分の話を的確に聞いてくれているなと安心感を得ることができるでしょう。
そうすることで、相手はどんどん話をしたくなり、会話が弾みやすくなります。
相手と同じ立場で考える共感
共感とは相手の立場に立って、あたかも自分が相手と同じ経験をしているかのように感じながら聞くことだと言えます。共感と似た言葉に同情がありますが、共感は全く意味が異なります。同情は、「この人かわいそう」などと聞き手が話し手の上に立つのに対して、共感は両者が「同じ体験をしているように感じ合う」ため、聞き手も話し手も同じ立場に立つことです。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。