死後離婚のデメリット
ここまでに紹介したメリットを見ると、悪いことなんてないのではないかと感じてしまいますね。果たして、姻族関係終了届を提出することには、デメリットはあるのでしょうか?
子どもと祖父母との関係は変わらない
姻族関係終了届を提出できるのは、配偶者が亡くなり、残された本人だけです。本人が義両親や親族との関係を終了できるだけで、子どもは今までの関係のままになります。そのため、要介護や生活保護になった場合に面倒を見る責任が孫である子どもたちには残ることになります。生活保護になった場合は、役所から親族に対して「面倒を見ることはできませんか」と問い合わせが来ます。自分にその問い合わせが来ないかわりに、子どもたちにはその連絡が来るのです。子どもに祖父母のことで面倒をかける可能性があることは覚えておきましょう。
親族には届けの提出の事実を自分で伝えなくては伝わらない
姻族関係終了届を提出したとしても、その提出の事実は、相手側の親族に通知されることはなく、自分から話さない限り誰にも公表されることはありません。そのため、亡くなった配偶者の親族に、「姻族関係終了届を提出したので、私は関係ありません」ということを自分で伝えなくてはいけません。親族から外れたいと感じて、姻族関係終了届を提出しようと考えているほど関係が悪化している相手に対して、面と向かって「私は親族から外れました」と話をするのは簡単ではありません。しかし、届けを出すことで逃れたいと考えた責任がかぶさってきたときには、伝えることを避けることができません。
人と人のつながりは簡単には切れない
たとえ姻族関係終了届を提出したとしても、亡くなった配偶者の両親と同居していたり、親族がすぐそばに住んでいたりする場合、簡単にその関係をリセットするのは難しいですよね。姻族関係終了届について、よい印象を持たない世代が多い現状では、「冷たい人」「薄情」などと捉えられることも多いです。それをご近所関係にも持ち込まれてしまったりしたら、いたたまれない空気になるのは目に見えています。そのような場合は、その場所でそのまま生活することは難しくなりますよね。
提出を覆すことはできない
姻族関係終了届は、提出できるのが配偶者に残された本人だけと決まっていることもあり、提出すると必ず受理されます。そしてその届けを取り消すことができません。婚姻関係は、離婚届を出したとしても、再び婚姻届を提出することで婚姻関係に戻ることができますが、姻族関係終了届は一度届け出ると再び姻族に戻る届けが存在しません。そのため、一度提出すると姻族に戻ることはできません。関係の悪化でいきおい余って提出してしまい、その後和解したとしても取り消すことはできませんので注意が必要です。
義両親に対する扶養義務はない
義両親や義きょうだいとの関係に悩んでこの届けを提出しようと考える人が多いですが、実は亡くなった配偶者の両親やきょうだいにたいする扶養義務はありません。お墓についても、夫婦で別のお墓に入ることも禁じられていませんし、法的な義務ももちろんありません。
おわりに
姻族関係終了届による“死後離婚”によるメリットデメリットについてまとめました。夫のことが好きで結婚したけれど、両親がどうしても好きになれないという人は少なくないはず。実際に提出するかどうかは最後の切り札として、この届けの存在を心の隅においておくのもいいですね。
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