働くお母さんにとって、保育園の存在は大変ありがたいものですよね。ここ最近話題になっているのが、2人目の育児休業中は一人目の子が保育園に通っている場合、退園を迫られるということがあるという「育休退園」です。せっかく、苦労して入れた保育園なのに退園だなんてお母さんも困ってしまいますし、子どもにとっても慣れた保育園を退園するのは心の負担になります。今回はその「育休退園」について見ていきましょう。
育児休業と保育園に関する制度について
「育休退園」と聞いても、具体的にどういうことを意味しているのか、よく分からない方もいらっしゃるでしょう。これから、妊娠を考えている方、一人目の子どもがいらっしゃる方、2人目、3人目の子どもを考え中の方には、他人事ではない制度なのです。
そもそも育児休業とは何のこと?
育児休業とは、出産後の一定期間、労働者が育児に専念できるように休暇を保障する制度です。女性の社会進出、核家族化に対応するために、日本では育児介護休業法が1995年に施行されました。育児休業は、養育する1歳に満たない子どもの育児について事業主に申し出ることによって取得することが可能です。また、企業によっては法律の規定以上の条件で育児休暇を設けている場合もあります。
育児休業退園制度とはどんな制度?
育児休業退園制度とは、子どもを保育園に通わせている保護者が育児休業を取得することになった場合、自宅で子育てができるとみなされてしまい、子どもが退園させられる制度のことをいいます。仕事など諸事情で子育てが難しい家庭の子どもを優先的に受け入れるために設けられた制度です。保育園待機児童数を改善するために設けられた制度なのですが、結果的に多くの利用者から疑問の声が上がっています。
【子ども・子育て支援法】について
2015年に施行された「子ども・子育て支援法」には、子ども自身だけでなく、子どもを養育する者に対する支援についても言及されています。特に第33条の特定教育、保育施設に関しては、保育園の設置者は、支給認定保護者から利用願いがあった場合には、正当な理由なく、これを拒んではいけないことが書かれています。この法律によると保護者からの利用願いがある場合には「正当な理由なく」退園通知をしてはいけないということになり、育休退園など存在するはずがないのですが、どう解釈されているのでしょうか。
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育児休業退園制度をめぐる実際のケース
育児休業退園制度をめぐって、色々な問題提起がなされています。制度自体はもっと子育てしやすい社会にしていこうということを目的としているのですが、この先果たしてどうなるのでしょうか。ここでは、実際どのようなことが起きているのか、具体的に紹介していきます。
埼玉県所沢市の育休退園問題について
所沢市では、待機児童数減少を目的として、以前は第二子の育児休業中は退園を保育園側が利用者にお願いしていたようです。このような退園に迫られることを不服とし、利用者が保育園を相手に訴訟を起こすまでに問題が発展しました。しかし、2015年に子ども・育児支援法が施行されてから、市は国の基準をもとにして継続利用も認めるようになりました。継続利用を希望する場合には、保護者は継続利用申請書を在園している施設に提出必要があります。
熊本県熊本市と育休退園の問題について
現在熊本市では、育児休業退園制度が適用されています。政令指定都市の中では、この制度の適用を行っている唯一の都市でした。しかし、子ども・育児支援法の施行を受けて、2017年4月より育児休業中の保護者も保育園の継続利用を可能にすることを決めました。その背景には、保育園の増改築、職員の増員などの政策が功を奏し、待機児童が0人となったことがあげられます。
全ての保育園で育児休業退園制度が適用されているの?
現在のところ、育児休業退園制度が適用されているかは、自治体の方針によります。また、育児休業退園制度が適用されている保育園のほとんどは公立の保育園で、私立の保育園や無認可保育園などではケース・バイ・ケースです。また、育児休業退園制度を適用している場合でも家庭の状況によりますので、育児休業を取得したら必ず退園ということではありません。保育時間の短縮など、継続して通園できる場合もあります。心配な方はお住まいの自治体に問い合わせてみるのが良いでしょう。
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ケーキづくりと旅行が大好きな母です。本業と執筆活動頑張っています!
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