イクメンが増えていくに従って、見えてきたのが世代間の考え方の違いです。40代、50代の男性は仕事一筋で家庭のことは妻に任せていた場合が多く、若い世代の男性が家事や育児を担うことについて、理解ができないばかりか、「みっともない」とすら感じることもあります。その考えのずれから「パタニティー・ハラスメント」へと発展していくようです。
パタニティー・ハラスメントとは何か?
パタニティーは「Paternity」=「父であること」を意味する言葉です。パパが「父であること」について嫌がらせを受けることを、「パタニティー・ハラスメント」(略称パタハラ)と言います。パタハラは育児に楽しみを感じ、仕事も大事にしながら家族の時間を過ごそうと思うパパたちにとって深刻な問題です。
「男は外で働き、女が家を守る」という考え
パタハラが起こる最大の理由は、「男は仕事一筋。家事育児は女の仕事」という旧態依然とした考えが根元にあります。育児のために仕事を休んだり、早退や遅刻をしたりすることに対して理解できない上司などから受けることが多いのです。上司の世代にとっては「男の育児が理解できない」「仕事をなめているのか」という考えから、いつの間にかパタハラ的な言動をしていることが多い様です。
共働き家庭が増え、男性も家事や育児を担当している
上司や親世代が子育てをしていた時代と決定的に違うことが、共働き家庭の増加です。以前は結婚や妊娠を機に退職をする女性が多く、その後は専業主婦として家事や育児を一手に担う家庭が大半でした。そして、男性は仕事に没頭し、家族が豊かな暮らしをするために働いてきました。しかし、現在は将来の不安や、女性の社会進出の増加などから、2人が働きながら、家事と育児を分担することが一般的になってきています。
男性の育児休暇の取得率が低い原因にも
育児休暇は男性でも取得できる制度です。しかし、その取得率は女性に比べてかなり低いものとなっています。その育休取得率が、伸び悩んでいる最大の原因がパタハラだと言われています。育休を取得しようと思う男性にとっても、会社や上司からの評価を落とすことは避けたいもの。上司に理解がない場合は、育休の申請すら出せずに泣き寝入りをせざるを得ないパターンに陥ります。実際に男性の育児休業取得率は平成29年にやっと5.14%になりました。
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パタニティー・ハラスメントの内容
パタハラにはどのような事例があるのでしょうか?根元には上司の「なぜ男が育児や家事をしているんだ!仕事と家庭とどっちが大切なんだ!」という困惑と怒りがあります。しかし、イクメンパパたちは決して仕事をおろそかにしているわけではないのです。
そもそも、育児休暇の申請をさせてくれない
パタハラ上司によっては「男が育休を取得するなど言語道断」と言って、受け付けないことがあります。育児休暇を男性が取得できることすら知らない場合も。また、育児休暇の申請を受け付けはするが、仕事への責任感がない人間であると見なし、「昇進の道が途絶えた」「戻ってきた時の居場所はなくなっている」などと脅す上司もいます。
子どもの急な発熱!保育園には誰が迎えに行く?
育休だけではなく、共働きについても正しい認識ができていない上司からもパタハラを受けます。例えば、保育園から子どもが発熱したという連絡を受けた時です。パパがお迎えに行こうと早退を申請すると「なぜ奥さんが行かないんだ」と、なかなか取り合ってくれない場合があります。また共働きでなくても、子どもの運動会や学芸会のために有給を取得しようとすると、嫌みを言ってくる上司もいます。
会社だけではなく、実親からのパタハラも…
パタハラは上司だけではありません。親たちからも受ける場合が多くあります。「お嫁さんが育休をとっているのに、息子も育休をとっている。会社でのポジションが心配だ。」というパパの親や、「娘は産後すぐに仕事に復帰したのに、お婿さんの方が長く育休をとっている。家族を守る気があるのか心配だ。」というママの親からの意見です。親は心配をしているつもりでしょうが、立派なパタハラです。
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元IT系企業勤務。現在はフリーランスのデザイナーである夫の会社でWebサイトの構築、運営やライティングをしています。ゆる受験で私立中高一貫校に通う長女、ガチお受験で私立小学校に通う次女、そして幼稚園に入園する三女の三姉妹のお母さんもしています。
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