学校でよく取り上げられる問題といえば、不登校です。しかし、不登校まではいかない「登校しぶり」というものがあるのをご存じですか?登校しぶりを見せる子どもは、学校に行くのであまり問題視されませんが、登校しぶりは子どものつらさやしんどさを表すサインです。今回は登校しぶりの特徴や原因、さらに対処法についてご紹介します。
登校しぶりをする子どもの特徴とは?
不登校になると、何か良くない問題を抱えていることが分かりますが、登校しぶりは学校に行くので親や学校側も気付きにくいものです。そこで、登校しぶりをする子どもの振る舞いや特徴についてまとめました。当てはまる場合は、子どもが登校しぶりになっているかもしれません。
登校前に「行きたくない」とぐずる
登校しぶりの分かりやすいサインは、登校前に「行きたくない」「家にいたい」とぐずることです。場合によっては、泣きながら嫌がることもあります。ただし、なぐさめたり、「ちゃんと行きなさい」と言ったりすると学校に行くことも多いので、あまり親としては心配しないこともあります。数日程度で収まるなら大丈夫ですが、この状態が長期間続くと不登校につながる恐れもあります。
登校前になると体調不良を訴える
「学校に行きたくない」と直接的なことを言わずに、「おなかが痛い」「頭が痛い」と体調不良を訴えることで、登校しぶりをするケースもあります。このとき、本当にそういった症状が出ていることもあれば、うそをついている場合もあります。学校に行きたくないと伝えると原因を詳しく聞かれて困るので、あえて間接的に伝えようとしているのかもしれません。明らかに元気なのに、体調不良を訴えることが続いたら、登校しぶりのサインでしょう。
学校には行っても保健室で過ごす
登校しぶりは、登校前には普通にしていても、学校に行ってからサインが見られることもあります。例えば、学校には行くものの教室で過ごせずに保健室で過ごす場合は、登校しぶりの可能性があります。何かしらの理由があり教室で過ごしたり、友達と接したりすることが嫌で、保健室で大半の時間を過ごすのです。周りからすると、「学校には来られるのにどうして?」と不可解かもしれません。
合わせて読みたい
登校しぶりはどうして起こる?
登校しぶりは、学校生活がうまく行っていなかったり、子どもが心に何かの問題を抱えていたりと、良くない状況になっている証拠です。解決するためには、まず原因を知ることが大切です。以下に、登校しぶりが起こる原因をお伝えします。
新しい環境に慣れずに困っている
登校しぶりの原因としてよくあるのが、新しい環境になじめないことです。4月に進級してクラスや担任が変わると、それまで学校に普通に通っていた子どもでもうまく環境になじめずに、登校しぶりをすることがあります。4月や5月に登校しぶりをしたら、新しい環境になじめていないサインかもしれません。ただ、この場合は日々を重ねるごとに、登校しぶりが改善されることもあります。
長い休み明けで気持ちが切り替えられない
GW明けや夏休み明け、冬休み明けも登校しぶりがよく見られます。実は子どもの自殺の数が増えるのも、こうした休み明けのタイミングです。家で過ごしていた日々が終わり、学校に行かなければいけなくなることで何となく不安になったり、憂鬱(ゆううつ)になったりするのです。ここで無理に学校に行くと、ますます行きたくないという気持ちが大きくなることもあるので、登校しぶりを見せたら、休ませてあげるのが望ましいでしょう。
学校でうまくいっていないことがある
登校しぶりは、学校生活の中に要因があることもあります。例えば、先生が怖くて顔を見るのも嫌だったり、友達と一時的に仲が悪くなっていたりと人間関係が原因になることや、勉強が分からなくて授業が辛い、反対に勉強が出来すぎてつまらないことが原因になっていることもあります。子どもによって登校しぶりの理由はさまざまなので、原因を見つけた上で対処することが求められます。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。