無園児とは保育園・幼稚園に通っていない3歳以上の子どものことです。平成29年の調査では、日本にいる無園児の数は約14万人にものぼっているという結果が出ています。今回は、そのような"無園児"について詳しくご紹介します。
無園児になる原因はどういうもの?
まずは、子どもが無園児になる原因についてお伝えします。なぜ、日本では無園児が14万人もいるのでしょうか?どのような理由が潜んでいるのか、確認してみましょう。
通わせたいけれど、施設に空きがない
保育園や幼稚園に通わせたいけれど定員がいっぱいで空きがなく、無園児になってしまうということも少なくありません。自分の教育方針に沿うような施設に空きがない場合には、あえて違う保育園・幼稚園に通わせずに独自で教育していくという親もいます。また、自身の時間に余裕がある場合には、保育施設に通わせず、家で面倒を見るという方も多い傾向にあります。
保育園や幼稚園に入れるためのお金に余裕がない
無園児になる理由として、とても多いのが金銭的な問題です。幼稚園は無償化になりましたが給食代や教材費、その他諸経費を支払うことが出来ずに無園児になってしまうことも多いのです。特に母子家庭や外国籍の家庭、低所得の家庭などは無園児になる傾向にあります。中でも子どもを家に残して仕事に出かける親もおり、子どもが事件や事故に巻き込まれ、問題が生じてしまうケースもめずらしくありません。
子どもの発達に問題がある
発達障害や身体などにハンディキャップがある子どもの場合には、特別な配慮が必要になります。障害児保育を行なっていない保育園や幼稚園も多く、発達上に問題がある子どもを受け入れてくれる保育施設は、全国的にとても少ないのが現状です。また親からしても専門の保育施設ではないと「子どもに何かあったらどうしよう」と不安に思い、結局幼稚園・保育園に通わせず無園児にしてしまうこともあります。
虐待が隠れている可能性も
無園児の中には虐待が隠れている場合もあります。親としての責任を放棄し、無園児という選択をしている家庭も中にはあるのです。無園児は他者との関わりが少なく、暴力やネグレクトがあっても表面化しづらいのが現状です。
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無園児になると、どのような影響がある?
ここからは、子どもが無園児になることで起こり得る影響についてご紹介します。実は無園児になることで将来社会から置き去りになってしまうこともあるため、注意が必要です。
協調性がなくなる可能性がある
協調性が育まれるのは幼少期と言われるほど、この時期に人と触れ合ったり、集団行動をしたりすることはとても大切です。保育園や幼稚園に行かず家にずっといる生活をしていると、小学生に上がっても友達と上手に遊べなかったり、意思疎通が取れなかったりすることがあり得ます。人がどんなことをすると嫌がるのかが分かりにくいので、自分勝手な行動をとってしまい、嫌われることもあるでしょう。
小学生に上がった時に仲間の輪に入れない
基本的に子どもは近隣地域の保育園や幼稚園に通わせることが一般的です。そのため小学生に上がった時に、幼稚園で出来上がっている友達の輪に入り辛くなるかもしれません。それは子どもだけではなく、親もママ友の輪などに入りにくくなる傾向にあります。また保育園・幼稚園に通わせていない=変わり者だと思われることもあり、人の誤解を解くまでに苦労する可能性も否めません。
対人関係などにおけるマナーが学べない
保育園や幼稚園に通うことによって、挨拶などのマナーを多く学びます。しかし無園児は親が根気強く教えたとしても、挨拶をする友達や先生がいないと実践することができません。家族には挨拶が出来ても、見知らぬ人に出会った時に挨拶ができず、小学校に上がっても人と上手コミュニケーションが取れずに苦労することもあるでしょう。世間からすると常識がない子どもに見えてしまう可能性もあり、マナーを教え込むのに時間がかかってしまうかもしれません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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