小学校のプールや水泳の授業の今後は?
少子化やコストといった点を考えると、小学校の水泳の授業を学校のプールで行うスタイルが必ずしも当たり前ではなくなるでしょう。では、小学校のプールはすべて廃止され、外部の施設で水泳の授業を行うようになるのでしょうか?
学校のプールを生かせる可能性も
千葉県佐倉市で導入された「学校のプールを廃止し、校外の施設と指導者を活用し、水泳の指導を委託する」という方法は、他の自治体でも採用、あるいは検討されています。一方、学校のプールを廃止しない方法を採用している自治体もあります。茨城県牛久市のひたち野うしく小学校には室内温水プールがありますが、小学校の授業で使われるほか、授業時間以外は市民にも開放されています。プールを管理するのはNPOで、市民向けの水泳教室なども開催されています。学校施設の管理を外部に任せ、市民に広く活用してもらうという“逆の発想”は、もっと取り入れられてもよいのではないでしょうか。
学校外で水泳の授業をするには課題も
学校のプールをすべて廃止し、市営プールや民間のスイミングスクールでの授業に移行するには、自治体が抱える小中学校の数や児童・生徒数と、施設とのバランスが取れていないと難しいでしょう。先行して2校で民間のスイミングスクールでの水泳授業を行っている千葉県佐倉市でも、残り32の小中学校の水泳授業を2カ所の市営プール(現状は屋外。屋内・温水プールに改修することを想定)で賄えないか検証するとのことですが、現実的には市民プールを屋内型に改修しても対応できないのではないかとみられています。牛久市のように、授業と一般開放の併用型プールを学校内に設置しつつ、民間施設や市営プールを活用することを計画的に進める必要があるでしょう。
おわりに
少子化や人口減を背景に、自治体はお金の使い方を根本的に見直さなくてはならない時期に来ています。学校施設も例外ではありません。耐震化工事や改築を進める中で、すべての学校ごとにプールが必要なのか吟味し、コストや利用頻度などを考慮して廃止したり、近隣の学校と共同利用する形にしたりと学校プールのあり方を模索しています。あるいは、授業以外に一般市民にも開放する道も探っています。いずれにせよ、これまでの「学校ごとに必ずプールがある風景」は、当たり前ではなくなるでしょう。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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