現在の日本では、深刻な教師不足になっているのをご存知でしょうか?教育の現場で、先生が足らないという問題が発生しているのです。
ここでは、そのような教師不足という部分にスポットを当てて、教育現場の実態について見ていきたいと思います。
教師不足を招いた具体的な理由とは?
教師の採用は、毎年変わらず行われています。それにも関わらず、教育現場では教師が不足しているのです。現状の教師不足には、いくつかの理由が存在します。
教師の大量採用・大量退職の波の影響
1971年~1974年頃は、第二次ベビーブームで子どもの数がグッと増えた時期でした。その頃の世代を現在では「団塊世代」と呼びますが、この時に子どもの数に合わせて大量に教師が採用されたのです。
しかし、当時一斉に採用された教師は、同時期に退職を迎え、教師不足を招く原因のひとつになってしまいました。
民間企業への人材の流出による教師不足
一般企業の就職活動は、大学3年生の3月から情報が解禁になります。そして、4年生の6月頃から内定が出始めますが、最近ではそれよりも前倒しで就職活動を始める企業も多くなっています。
これに対して、教員採用試験は1次が6~7月、2次が8月~9月、合格発表が10月頃となっているので、民間の企業よりもかなり遅いことが分かります。これにより、民間企業へと進路変更してしまう学生も多いのです。
教師という職業に対するイメージの悪化
近年、教師という職業に対するイメージが、年々悪化していると言われています。ここ数年で、教師は「ブラック労働」と言われる程ハードな仕事として語られることが多くなってきました。
例えば、長時間労働による過労死や体罰・セクハラなどさまざまな負のイメージが教師不足に拍車をかけてしまっているのです。
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教師不足の実態や現場の様子はどうなのか?
教師不足の実態や現場の様子はどうなのかについても、見ていきたいと思います。実際の教育現場では、どのようなことが起きているのでしょうか?
現場のブラック化が教師不足を加速させている?
先ほども軽く触れましたが、教師の職場のブラック化は深刻です。
昔の教育現場とは違い、現在の教師は長時間労働が当たり前、さらにいじめ問題が発生した際は対応に追われ、モンスターペアレントによるクレームや学級崩壊に関する悩みなど、教師という仕事内容以外にも、気を回さなければならないことが増えています。
この現場のブラック化は、もともと教師が不足している状況を、さらに加速させているとも言えるでしょう。
採用倍率の低下に伴う人材の質の低下
日本においての教員採用試験の倍率は、2000年度の13.3倍がピークでした。しかし、その後は20年以上に渡って、倍率が下がり続けているのです。このような中で採用される人材は、ピーク時に比べると質に差が出てきているのは否めません。
ゆえに、教育現場にもその影響がダイレクトに広がってしまっているのです。
過酷な労働条件下での離職率の上昇
現在の教師の仕事は、子どもたちへの教育以外のことが大きな割合を占めています。
例えば、部活動の話は有名でしょう。もともと、教師の仕事の範囲を超える過酷な仕事量を抱えた状態で、教師たちは土日も部活動の顧問として活動しています。このように、労働条件が過酷すぎることで離職する人が多くなり、現在のような教師不足を招いてしまっているのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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