最近、注目されている非認知能力を育てる教育。非認知能力とは、学力などの評価しやすい能力ではなく、積極性や意欲、社会性など、数値化することが難しい能力の事です。SEL教育は、アメリカで人気の非認知能力を伸ばすための教育方法です。SEL教育とは、具体的にはどのような目標をもった教育方法なのかをまとめてみました。
SEL(Social Emotional Learning)とは
SEL教育の「SEL」は、英語で「Social Emotional Learning」、日本語では「社会性と情動の学習」と訳されます。自己と他者の関係を見つめることからはじまる「SEL」は、アメリカをはじめ、ヨーロッパでも教育現場で取り入れられています。
SELで5つの力を育成していく
SELで育てられる力は5つあります。「自己への気付き」「自己のコントロール」「他者への気付き」「対人関係」そして「責任ある意思決定」です。SELの日本語訳「社会性と情動の学習」の中の「情動」は、人間の激しい感情の動きの事です。
喜びはもちろん、悲しみや怒り、不安などがそうです。その自分の中の「情動」を制御し、さらに他者の気持ちへ寄り添って対人関係を築くことは社会生活を送る上で大切な能力といえます。また、自分や他者の感情を慮りながら、社会の中で意思決定をできる能力を育てられる「SEL」は、これから日本でも注目される教育方法となるでしょう。
教育現場で体系的に社会性を身につける
己を顧みることや、他者への共感などは、日本の道徳の授業でも取り上げられるテーマです。しかし、道徳ではお話を読んで感想を述べるなどにとどまり、自分の感情のコントロールの方法などを具体的に習うことはできません。また、社会性についても家庭や学校生活の中で自然と身につくものであると考えられがちです。
しかし、「SEL」を取り入れているアメリカの学校では、自分の感情をコントロールする方法として瞑想や呼吸法を指導するなどしています。体系的に考えられた「情動」との付き合い方や他者への共感方法で、子どもたちもスムーズにそれらの能力を身につけることができるのです。
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SEL教育は自分の感情との向き合い方や他者への共感力
SELの考え方は、まず、自分と他者の感情の理解をすることです。自分の感情に気づきそれをコントロールすること、そして、他者の感情に気づきそれに寄り添うことで、社会の中で適切な行動や決定ができるとしています。
自己への気付きと自己コントロールを育む
大人でも難しい、自分の感情のコントロール。怒りや悲しみ、不安や恐怖などの感情の赴くまま行動することは、社会生活に支障をきたしてしまいます。SEL教育では、自分の感情をきちんと理解して、さらに制御、コントロールすることで、前向きに次のステップへ進む力が育ちます。
また、自分の強みや弱みを理解することは成長に不可欠な要素です。自分への理解を深めることで、自分の掲げた目標を達成するための力を身につけることができるのです。
他者への気付きと対人関係を育む
子どもには難しい他者への共感。SELでは、この能力も重要としています。さまざまな家庭環境や価値観、文化の中で育ってきた他者を受け入れ、理解しようとすることで共感や思いやりの心を育むことができます。さらに、他者と適切なコミュニケーションをとり、対立意見にも建設的な解決方法を提案したり、協力したりする能力も大切です。
そして、自分が困ったときには他者に助けを求めることや、逆に他者を助けることができるようにすることで、自分が所属するコミュニティーはもちろん、社会全体の人々と問題なく関わることができる能力を身につけます。
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元IT系企業勤務。現在はフリーランスのデザイナーである夫の会社でWebサイトの構築、運営やライティングをしています。ゆる受験で私立中高一貫校に通う長女、ガチお受験で私立小学校に通う次女、そして幼稚園に入園する三女の三姉妹のお母さんもしています。
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