「保幼小連携」のためにできることについて
幼稚園と保育園は熱心に小学校とのつながりを意識しながら、「保幼小連携」の取り組みを行っています。つまり常に小学校以降の生活を意識しながら、日々の保育や教育に取り組んでいるのです。実際の現場の様子を見ても、保育士や幼稚園教諭は、小学校との接続に熱心な方が多いのだそうです。一方、小学校側は、学習指導要領に沿って、集団の中で学習させる必要があります。そのため一人ひとりの子どもの成長過程までみることは、難しい状況となっています。
小学校での個々の対応についての難しさ
幼稚園や保育園は小学校に指導要録を送付しますが、そこに書かれた個人の情報よりも、障害の有無などのチェックにとどまっている場合があります。ただでさえ人手不足で忙しい小学校教員にとって、一人ひとりの子どもについて情報をきっちりと読み込む時間の余裕がないのでしょう。接続のための情報はまとまっているにもかかわらず、受け入れる側の環境がなかなか整備されていないことが問題点として考えられます。
保幼小接続の時期に家庭でできることは?
小学校でのサポートが追いついていない場合は、家庭でできる限り子どもの力を伸ばしてあげる必要があります。まず保護者が家庭でできることは、 子どもの話をよく聞くことです。子どもの言葉を否定せずに、まっすぐに聞いてあげるようにしましょう。子どもに自信を持たせるためにも、途中で遮ったり、それは違う、などのアドバイスをすることは避けてくださいね。また、子どもが興味を持ったことに関しては、できる限りその力を伸ばしてあげるようにしてください。教育の観点から見ると、本の読み聞かせはとても効果的だと言われています。
「保幼小接続」を地域で支えるには
幼稚園や保育園では、ソーシャルスキルの形成がしやすい環境があります。年齢の異なる子どもたちが一緒になって遊ぶ場面が多いため、コミュニケーションのしかたを学ぶことができるのです。小学校では、グループでの活動場面の時間は十分ではありません。そのため私たちは地域で子どもたちを見守り、小学校入学後も子どもが多くの人と関わることができるような場を、たくさん用意していく必要があるでしょう。
おわりに
幼稚園や保育園での情報をきちんと小学校に繋ぎ、家庭や地域での見守りを続けることによって、「小1プロブレム」を防ぎ、子どもがのびのびと楽しく学校生活を送れるようになるでしょう。保育士や教員だけに子どものことを任せるのではなく、常に大人が子どもの能力を最大限引き出してあげられるようにサポートしていくことが重要です。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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