子どもを出産し、育児に集中するために取得する育休。育休中は、子育てに追われ日常生活もままならないと言う人も多いと思います。そのような中で岸田総理が、育休中のリスキリングを推進するという発言をして問題になりました。
この記事では、岸田総理が推進するリスキリングとは何か、また炎上した発言の全貌について詳しく解説します。
国が推進する育休中のリスキリングとは?
それでは、国が推進する育休中のリスキリングとはどのようなものなのかをお伝えします。育休に関しては、以前よりは言葉も制度自体も浸透してきたイメージがありますが、リスキリングという言葉は初めて聞くという人も多いでしょう。
国会の代表質問で挙がったリスキリングとは?
リスキリングとは、成長が期待される分野の仕事を担当させるために、企業や行政が働く人に対して必要となるスキルを習得させる取り組みのことを指します。
例えば、事務や工場などで働いている人に対して、システムエンジニアなどで新たなデジタル分野での活躍をサポートするという試みです。
実際に、効果があるのか疑問視する声も多い中、着実に収入アップに繋げている人もいます。
リスキリングでスキルアップの現状
ITエンジニアとして活躍しているある女性は、リスキリングに取り組んだことで新たな業務を担うようになり、確実にキャリアアップを実現しています。
この女性が使いこなすスキルは、RPAと呼ばれる単純な入力作業をコンピューターが自動で行えるようにするデジタル技術で、手作業で行っていた業務の削減に貢献しました。
RPAに任せると、自動でお知らせなどを指定の場所に保存するのも可能ですし、何件でも自動で情報を取ってくるという作業もコンピューターが行います。これにより、年間300日分の単純作業を削減することができ、習得したスキルを存分に活かしているのです。
どんな立場の人材でも目標を持つことに繋がる
上記のスキルアップを叶えた女性は、もともとは派遣社員として入社した人材でした。その後、勤務態度などが評価され正社員となり、リスキリングに取り組んだことで年収が入社当時の1.7倍にまでアップしたのです。
目標や夢がなく、ただなんとなく毎日の業務に追われていた派遣社員だった女性が、興味のある分野のスキルをリスキリングによって習得し、収入アップにまで繋げることが出来るのです。
つまり、各分野のさまざまな立場の人にもチャンスがあると言えます。
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育休中のリスキリング発言が炎上した理由
さて、上記のように夢や収入アップを叶えた人がいる一方で、国会で岸田総理が発現した育休中のリスキリングについての内容が炎上するという騒動が起きました。ここでは、岸田総理の発言の何が原因で炎上したのか、詳しく見ていきましょう。
育休は休暇ではないから
まず1つ目は、育休は休暇ではないからという理由です。
この反発を招いたのは、国会で自民党の大家議員が発した「育休・産休の期間に、リスキリングによって一定のスキルを身につけたり、学位を取ったりする方々を支援出来れば、逆にキャリアアップが可能になる事も考えられる」という言葉です。
これに対して岸田総理が、「育児中などさまざまな状況にあっても、主体的に学び直したり取り組んだりする方々を後押ししていく」と発言し、国会内外で批判を招くこととなりました。
このやり取りは、「育休中は時間があるだろう」という男性を想定しての発言と受け取られ、SNS上でも「育休は休暇ではない」という批判的な意見が多く発信されたのです。
キャリアアップの発想が理解できないから
育休を取得している期間は、慣れない子育てに追われ自分のことですらままならない日常を送っています。自分のペースで生活するのはもちろん、生活自体の変化に体が順応するまでにも、時間がかかると言われているのです。
そのような中で、リスキリングによって学び直しが出来る余裕などなく、それがキャリアアップに繋がるという発想が理解できないという声が多く挙がっています。
育休中は子育てと産後の体調を戻るのが最優先だから
慣れない育児では、睡眠時間も削られて想像以上に体に負担がかかった状態で生活しています。
そのような中で、子どもが安全に過ごせるように守ることが、育休中のママやパパの最優先事項とも言え、産後の体調が不安定な時にリスキリングで学ぶ余裕はないという理由があります。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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