専業主婦といえば、夫の収入が安定している家庭でなければできないイメージがあります。そのため、将来は年収が高い男性をつかまえて専業主婦になりたいと考える独身女性も多いですよね。しかし、専業主婦世帯の貧困率が高いというデータもあり、専業主婦について一般のイメージとは違う現実があることが分かります。今回は、最近よく耳にする「貧困専業主婦」の実態について、詳しくまとめてみました。
現在の専業主婦世帯の実態とは?
貧困専業主婦という言葉が出てくるほど、かつてと比べて専業主婦を取り巻く環境は大きく変わっています。そこでまず、貧困専業主婦の特徴や専業主婦世帯の実態について詳しく調べてみました。一般的なイメージとは、大きく変わっていることが分かるでしょう。
【専業主婦と共働き世帯】
専業主婦なのに家庭は貧困に陥っている
労働政策研究・研修機構(JILPT)の周燕飛さんが著書で扱ったデータによると、専業主婦世帯の貧困率は10%(※)だったそうです。これは全世帯の貧困率よりも高い数字で、妻が専業主婦になれる家庭は収入が安定しているというイメージを覆すものでした。データだけをみると、家庭が貧困なのにどうして働かずに専業主婦をしているのか疑問に思う方もいるかもしれません。理由については、また後ほどご説明します。
※ここでいう貧困とは厚労省の公表している貧困線(4人世帯では可処分所得で年244万円程度)以下
パートに出ていても貧困になることも
専業主婦といえば、仕事をせずに家事や育児に専念している妻のことを指しますが、パートに出ている妻を準専業主婦という見方をする人もいます。働きに出ているとはいえフルタイムではなく、あくまで家事や育児の合間にしているため、家庭優先の労働となっているからです。パートタイムで働いても、長時間働けなかったり低賃金だったりという理由で、貧困からなかなか脱せられない家庭もあるようです。
専業主婦が貧しさの象徴となっている
貧困専業主婦という言葉が使われるようになったとはいえ、専業主婦になるのは所得が多い世帯が多いのだろうと考える方もいるでしょう。しかし、実際は専業主婦率がもっとも高いのは、世帯収入のもっとも高い階層ではなく、収入のもっとも低い階層ということが分かっています。専業主婦といえば裕福さの象徴とみられていたものの、今では貧しさの象徴となりつつある面もあるのです。
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貧困なのに専業主婦になる理由とは?
夫の収入だけでは貧困になってしまう場合、高くない賃金でも妻が働けば家計も楽になるのではないかと思いますよね。しかし、貧困でも専業主婦にならざるを得ない理由があることも。そこで、貧困専業主婦が生まれる理由について解説します。
子どもが待機児童になってしまった
子育てについて最近問題になっているのが、待機児童です。保育園や幼稚園に子どもを入れて働きにいきたいにも関わらず、審査に通らず順番待ちになり、子どもが待機児童になってしまったという家庭が少なくありません。この場合、誰かが家で子どもをみなくてはいけなくなりますから、自然とお母さんが専業主婦となり、ずっと子どもを家でみることになる可能性が高くなります。親や他の保育施設に預けたりすることもできますが、毎日となると難しいですよね。
やむを得ない理由で外に働きにいけない
子どもが保育園や学校に通い、本人も働きたいと思っていても体調面、精神的な問題でどうしても働きにいけないので、専業主婦になる例もあるようです。例えば、前の職場の過労が原因で精神を病んでしまった経験があったり、パワハラをされたりした場合は、次の就職にも前向きになれませんよね。専業主婦の中にはこうしたやむを得ない理由で、家庭が貧困でも働きにいけないこともあるようです。
自ら選択して専業主婦になった人が多い
同じ専業主婦でも、自分の意志で専業主婦になった人も多くいます。もちろん、家庭が貧困に陥っているのを分かっていても、専業主婦という選択をした人もいるのです。しかし、自分で選択したにも関わらず、毎月家計のやり繰りが大変で困っている人も少なくありません。貧困専業主婦はやむを得ず専業主婦になった場合でも、自分で選んだ場合でも貧困で苦しむことが多いようです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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