【医師監修】絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎の症状・診断基準・原因・治療・予防・入院の必要性

監修医師プロフィール:清水なほみ 先生のイラスト 清水なほみ 先生

2001年広島大学医学部医学科卒業、広島大学附属病院産婦人科・中国がんセンター産婦人科・ウィミンズウェルネス銀座クリニック・虎の門病院産婦人科を経て、2010年9月「ポートサイド女性総合クリニック~ビバリータ~」を開業。

日本産科婦人科学会専門医、日本不妊カウンセリング学会認定カウンセラー。女性医療ネットワーク発起人・NPO法人ティーンズサポート理事長。

日本産婦人科学会専門医で、現在はポートサイド女性総合クリニック・ビバリータ院長。病院に行きづらいという患者さんの悩みを、現役医師の知識を活かしてサポートします。

http://www.vivalita.com/staff.html

絨毛膜羊膜炎の症状・診断基準・原因・治療・予防・入院の必要性

妊婦さんにとって「早産」「流産」などのワードは耳をふさぎたくなるものです。今回ご紹介する絨毛膜羊膜炎(じゅうもうまくようまくえん)はそれらの原因ともなる病気の一種です。とても恐ろしい病気に思われてしまうかもしれませんが、きちんと症状を知り、早期発見に努めれば怖くありません。どのようなことが原因なのか、予防はできるのかということを一緒に学んでいきましょう!

絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎の概要

胎児にお花
おなかの中の赤ちゃんは「絨毛(じゅうもう)膜」「羊膜」「脱落膜」という三つの膜に包まれています。胎児のお布団セットと言えばわかりやすいかもしれませんね。これらの膜は胎児を外敵から守ってくれるバリアーの役目を果たしています。そのバリアーのうちの「絨毛(じゅうもう)膜」と「羊膜」に傷がついてしまい、菌が入ってしまう病気が絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎です。
絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎にかかると、本来陣痛が来てもよい時期よりも早く子宮が収縮してしまう恐れがあり、早期破水や切迫早産、早産などを引き起こしてしまう可能性が高まります。早産とは妊娠22週0日から37週6日に出産することを指しますが、28週未満の早産のうち約80%は絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎が原因というデータもあります。産婦人科の先生方の中でも特に気をつけるべき病気とされています。

絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎の症状

自覚症状

症状としては自覚症状があるものとないものの2種類に分類されます。多くの方は前者で、無自覚な場合が多いようです。しかし、無自覚な方の場合でも子宮頸管(けいかん)の短さや子宮の入り口が柔らかくなっていることが定期健診でわかった場合には、絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎を疑われることがあります。ちなみに子宮頸管(けいかん)とは子宮の下のほうにあって、子宮の内側の口と外側の口を結んでいる管のことです。赤ちゃんが下がってくることを防ぐために、出産時までは固く閉じていて、適度な長さを保っています。

一方症状が見られる場合には以下のことがあげられます。

  • おりものの色が、灰色がかった白色になる。(分泌量にさほど変化はない。)
  • おりものが臭う。
  • 下腹部の痛みを感じるようになる。

これらの変化が見られた場合にはすぐに病院に行くことをおすすめします。さらに重症化すると、38度以上の発熱や子宮の圧痛が見られるようになり、治療を施しても病気の進行を防ぐことができず、最悪の事態に陥ってしまうケースも考えられます。

絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎の診断基準

試験管
妊娠経過中においては、臨床的診断基準を用いて診断がおこなわれます。
顕性絨毛膜羊膜炎の代表的な診断基準には「Lencki SG et al.994 」「佐藤ら・1994 」といった2種類の診断があります。

2つの診断基準

Lencki SG et al.994

1 母体の発熱(38.0 度以上)がある場合、以下のうち 1 項目以上あること

  • 母体の頻脈(100bpm 以上)
  • 子宮の圧痛
  • 腟分泌物・羊水の悪臭
  • 白血球増多(15,000/ μ l以上)

2 母体の発熱がない場合、上記の 4 項目すべてを満たすこと

佐藤ら・1994

  • 母体発熱と頻脈胎児頻脈:180bpm 以上白血球増多:15,000/ μ l以上(左方移動の存在) ・CRP:2mg/ml以上あるいは+ 2 以上
  • 羊水の膿性混濁,悪臭
  • 治療抵抗性の子宮収縮

絨毛膜羊膜炎の臨床的診断基準によって診断された段階では、絨毛膜羊膜炎はかなり進行しており、この時点で治療を開始しても効果は期待できず早産となる可能性が高くなります。
このため、顆粒エラスターゼなどを用いた早産マーカーによる検査によって不顕性の時点での早期発見、早期診断することが重要となります。

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絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎になる原因

歯痛

絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎はさまざまな細菌が体の中に入り込むことによって発症します。まず膣(ちつ)炎や子宮頸管(けいかん)炎を発症し、その後菌が子宮中に回ってしまうことにより絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎になってしまうのです。普段であれば多少の細菌が体内に入っても問題ないのですが、妊娠中こともあり免疫力が低下しているため発症してしまうと考えられています。

妊娠中の性行為にも注意

妊娠中のコンドームを使用しない性行為は絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎になる大きな原因です。精液の中には炎症を引き起こす細菌が含まれているのです。もちろん、普段の状態であれば特に影響のない細菌ですが、妊娠中は病原菌に対する抵抗力が弱くなっているため、注意が必要です。

口の中も健康に

歯肉炎なども発症の可能性があります。口と体内は関係なく思われますが、実は歯肉炎の妊婦さんときちんと治療をしている健康な妊婦さんとでは、早産のリスクが7倍も違うのです。「歯肉炎かも…」という方はきちんと治療をしておきましょう。

絨毛(じゅうもう)膜羊膜炎の治療法は?

服用

主な治療は薬物療法です。抗生物質の内服薬を飲むと同時に、膣(ちつ)の座薬などが処方されます。妊娠の週数や病気の進行具合によっては「子宮収縮抑制薬」というものが投与されることも。また、あまりに重度な症状が見られる場合にはおなかの中の赤ちゃんのことも考慮し、早期分娩(ぶんべん)を行うこともあるそうです。

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