妊娠中のお母さんは胎児の成長に欠かせない栄養素を十分にとる必要がありますが、日々の食事だけですべてを補うのは難しいことです。そこで、サプリメントを利用して、必要な栄養を補う人も多いようです。しかし、栄養素によっては過剰な摂取が胎児に悪い影響を及ぼすものもあります。妊娠中に口にしてはいけないものでよく知られているのは、アルコールやたばこなどがあげられます。また、薬の服用にも注意が必要となり、サプリメントにも妊娠中に飲んではいけないものがあります。
今回は、妊娠中に飲んではいけないサプリメントについてご紹介します。
ビタミンA「レチノール」
妊娠中、過剰に摂取してはいけないものがビタミンAです。妊娠中にビタミンAを過剰摂取すると赤ちゃんの発育に悪い影響を及ぼすことが知られています。しかし、ビタミンAはおなかの赤ちゃんの遺伝子制御や細胞分裂にも必要な赤ちゃんの成長に欠かせないビタミンでもあります。実はビタミンAには動物性由来の「レチノール」と植物性由来の「ベータカロチン」の2種類が存在します。この中で、妊娠中のお母さんが摂取を控えるべきなのは動物性由来の「レチノール」です。「レチノール」は、脂溶性ビタミンともいわれ、水に溶けにくく、油で溶ける性質を持っているため、過剰に摂取してしまうと体の外に排出されにくく体内に蓄積されやすい性質を持っています。そのため、体内に蓄積された「レチノール」が赤ちゃんの成長を妨げ奇形などをともなわせてしまうことがあるため「レチノール」を含むサプリメントは控えてください。
一方、植物由来の「ベータカロチン」は、必要な量の栄養素以外は体外へと排出されるため、妊娠中に必要とされるビタミンAの推奨量670マイクログラムは植物性由来のビタミンA「ベータカロチン」で摂取することとおすすめいたします。
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マルチビタミン
肌荒れや健康維持のためにマルチビタミンサプリメントを日ごろからとっている人もいますが、このマルチビタミンサプリメントが妊婦に悪影響を及ぼすという研究結果が南デンマーク大学の研究チームによって発表されています。
これは、医学専門誌「International Journal of Epidemiology」で発表された研究結果で、35,000人の妊婦を調査した結果、妊娠の6週間前にマルチビタミンを常用していた場合、早期流産を引き起こす可能性が32パーセントアップしたということです。
なぜマルチビタミンがそのようなリスクを高めるのかは、現在もまだ研究中です。マルチビタミンとの因果関係は詳細に解明されていませんが、まったくマルチビタミンをとらなかった人と比べた場合に、3から4週間の服用で23パーセント、5から6週間の服用で32%も多く流産の兆候が見られるとの調査結果が得られています。さまざまなビタミンが混合されているマルチビタミンサプリメントの摂取には、妊娠前も含めて十分に注意する必要があります。
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