妊娠後期に関するQ&A 教えて!たまgoo!

QA_8

妊娠後期(8カ月、9カ月、10カ月)になるとおなかも大きくなり赤ちゃんに会える日も近づいてきました。ただおなかの張りや腹痛、出血には注意が必要です。早産が起こることもあるので、きたるべき出産に心も体も備えておきましょう。

たまgoo!では、杏林大学医学部付属病院と共同で、妊娠後期に関するQ&Aをお届けいたします。

Q1

妊婦の体の変化と赤ちゃんの成長は?

出産を待つ妊婦

妊娠8カ月頃になると母体の血液量は非妊娠時の1.5倍程まで増加します。分娩に備えるため前駆陣痛も始まるようになります。この頃には羊水量は800ccほどに達し、妊娠9カ月目からは減少していきます。またリラキシンというホルモンの産生が増加しますが、これは骨盤の関節部分を柔らかくし、産道が広がりやすいようにするためです。

骨盤の関節部分の緩みで痛みが生じることがあります。妊娠9カ月を過ぎると胎児の頭が分娩に備えて骨盤腔の下方へ移動します。すると子宮底が下降するため、上腹部の圧迫は多少解放され、呼吸も多少は楽になります。

胎児の頭の下降にともない、妊婦さんは尿意をともなうことが多くなります。これは分娩に備えて下降してきた胎児の頭が膀胱を圧迫するからです。胎児は妊娠8カ月頃になると2,000gほどにまで成長します。男の子であれば、睾丸が鼠径管を通って陰嚢内に納まります。

胎児の肺ではサーファクタントという界面活性物質を産生し始めます。これは出生後の肺の膨らみを維持するために必要な物質です。妊娠9カ月を過ぎると胎児の位置が固定しますが、96%は頭位で、3%が骨盤位です。この時期までに胎児の成長はほぼ完了し、分娩に備えることになります。

Q2

妊娠後期になってトイレが近くなり、尿もれが多くなりました

トイレに駆け込む女性

妊娠後期になると胎児の頭が骨盤下方へ移動します。これは分娩に備えるためですが、同時に胎児の頭が母親の膀胱を刺激するようにもなります。この影響でトイレが近くなり、尿もれが多くなります。

病的ではありませんので、過度に心配される必要もありません。ただし、尿もれ(尿失禁)と破水の区別がつかない妊婦さんもいます。破水とは羊水がもれ出すことです。破水であれば陣痛が早まったり、細菌感染を起こしたり、異常分娩に至ることもあります。区別がつかない場合は必ず医師の診察を受けてください。

今まで尿もれの経験がない女性がほとんどですから、破水か尿もれか区別がつかないのも当然ですので、まず確認をするようにしましょう。

Q3

里帰り出産の帰省はいつ頃がよいでしょうか?

里帰り出産

産科的な合併症(切迫早産や妊娠高血圧腎症など)を認めない場合は34週くらいを目安に里帰りをします。34週を過ぎると妊婦健診時に分娩に備えた血液検査や細菌検査を行うからです。

36週くらいに貧血のチェックのために血液検査を行う施設が多いと思いますが、それまでに里帰り出産をする施設を受診し採血の予約を取っておくとよいでしょう。貧血と判明した場合、鉄剤を内服させある程度改善させるためには1カ月程度かかります。

出産に出血はつきものですが、輸血を避け産後の体調を早期に回復させる意味でも分娩時までに貧血は改善しておく必要があります。またGBS(B群溶連菌)という細菌の寄生の有無も分娩前(34〜36週)に確かめます。GBSが産道に多く寄生していると新生児感染症(肺炎や髄膜炎など)を引きおこす機会が増えてしまします。

分娩周辺期にあらかじめ寄生の有無を里帰り出産施設で確かめておき、寄生していれば分娩時に抗菌薬を投与することで新生児感染症を予防できるからです。また里帰り先ではこれまでじかに患者さんの診察をしていません。

経過を紹介状のみでしか判断できないので、中には早めに確かめたいという施設もあります。また帝王切開の既往があり、手術を計画する場合には早めの受診を希望される施設もあります。ご自身の置かれた状況をよく把握し、里帰り先とよく相談して決めましょう。

Q4

妊娠後期に起こる腹痛で注意したいものはありますか?

腹痛

妊娠の時期を問わず腹痛の原因となりうる内科的・外科的疾患には虫垂炎や尿管結石、胆石などの胆管系疾患、膵炎などがあります。虫垂炎は1/1000人の頻度で起こりますが、妊娠後期になると虫垂は増大した妊娠子宮に押し上げられて右上側腹部に移動します。

そのため非妊娠時と痛みの部位が異なります。膵炎では背部痛が出現することもあります。もともと妊娠前からコレステロール値が高い妊婦さんでは妊娠が引き金になって膵炎を起こしやすくなります。これは妊娠すると脂質系の物質が生理的に上昇するためです。胆石症があると脂っこいものを食べた後で上腹部に痛みが出現することがあります。

妊娠にまつわる合併症で常位胎盤早期剥離、急性妊娠脂肪肝やHELLP症候群で腹痛が生じます。常位胎盤早期剥離は34週頃が好発時期です。初発症状には腹痛をともなうものも多く、胎児死亡や母体死亡の原因ともなります。

HELLP症候群は妊娠高血圧症候群の関連疾患です。妊娠中に出現した血圧上昇をともなう病態と密接に関連して、上腹部の臓器に血液を送り込む血管が攣縮(れんしゅく)することで支配領域の臓器が虚血になり痛みが生じます。肝機能障害や血小板数の低下を来し、母体死亡の原因となります。女性はかなり痛みに強く、我慢して受診が遅れることもありますので、通常感じたことがないような痛みの場合には必ずすぐに受診しましょう。

Q5

逆子になってしまいました。出産までに治りますか?

逆子

妊娠9カ月を過ぎると胎児の位置が固定しますが、96%は頭位で、3%が骨盤位です。この時期までに胎児の成長はほぼ完了し、分娩に備えることになります。

初産婦では経産婦より早めに胎児の頭が骨盤内に入ります(児頭の固定)。従って初産婦で9カ月を過ぎると出産までに頭位に戻ることは少なくなります。一方で経産婦では児頭の固定が遅れますので、頭位になったり骨盤位(逆子)になったりします。

38週くらいで頭位に戻ることもよく経験しますので、手術をすすめられた場合には直前まで観察が必要です。また、逆子を戻す体操を指導されることもあります。施設によっては積極的に指導される場合もありますが、必ずしも効果的とは言えません。

無理のない程度で試みるのもよいでしょう。また外回転術(妊婦さんのおなかを押して胎児を回転させる手技)を行い、骨盤位を頭位に戻す施設もあります。妊婦さんにとっては帝王切開を避けられます。この手技で帝王切開を回避できたとする報告は数多くあります。

しかしながら手技の途中で胎児の心拍数異常が生じ、緊急帝王切開を強いられることも事実です。利点と欠点を理解して手技を行う必要があります。またこの手技を行っている施設は限られます。受診中の施設で可能かどうかは担当医に相談してください。

Q6

体重増加で「妊娠高血圧症候群」になりました。どうすれば?

むくみ

体重増加のみでは妊娠高血圧症候群とは言えませんが、妊娠末期になり浮腫(むくみ)をともなうようになると血圧が上昇する妊婦さんはいます。血圧上昇をきたすような場合なら妊娠高血圧症候群と言えます。

一般に妊娠20週以降に新たに認められた高血圧と蛋白尿を同時に認める場合は妊娠高血圧腎症、高血圧単独である場合は妊娠高血圧と呼びます。これらの総称が妊娠高血圧症候群です。さて妊娠末期の浮腫(むくみ)による体重増加は、なんらかの原因で血管の透過性が亢進して組織間に水が移動することで生じます。

血管の内部の水分が血管の外に漏れでるわけです。ひどい場合は下肢から顔までむくむ場合があります。血管の機能変化がこのような状態を引きおこしているわけですが、透過性亢進という機能変化のみならず血管が硬くなって末梢血管抵抗も増すようにもなります。

こうなると血圧が上昇します。血圧が上昇するといわゆる妊娠高血圧症候群となり、妊娠を終了しなければ元に戻りません。浮腫(むくみ)を自覚した段階で、休む時間を増やしたり下肢を挙上したりするなどの対策を講じると、尿量も増え、浮腫(むくみ)も軽減し、血圧上昇を未然に防ぐこともできます。

浮腫(むくみ)を増悪させないために水分摂取を控えたりするとかえって血圧が上昇することもあります。過度な制限はすすめられません。ただしこのような対策はすべての症例で効果があるわけではありません。

Q7

妊娠週数にくらべて胎児の体重が小さいと言われました。大丈夫ですか?

ベビーウェア

胎児の体重の伸びが鈍化し週数相当の体重に至らない状態を胎児発育不全と言います。多く場合は胎盤の機能低下が原因となります。

胎盤機能が低下してくると胎児の体重増加の鈍化に加えて、羊水量も減ってきます。これらの変化は2週間ほどの期間でより鮮明になります。明らかな形態異常(先天奇形)をともなわない胎児発育不全児で羊水量の減少を認めなければ、必ずしも慌てる必要はありません。

胎児に胎盤を介する酸素や栄養の供給がある程度保たれているなら、胎児も自分の腎臓に十分量の酸素を含んだ血液を送り出すことができ、尿量も維持されているからです。このような胎児はまだ健康であると思われます。

一方で胎盤機能低下が存在すると、酸素や栄養の供給が滞るため健康状態が悪化します。健康状態が悪化すると胎児は生命維持に必要な脳組織や心臓に血液を優先的に送るようになります。その一方で胎児の腎臓には十分な酸素を含んだ血液が送られなくなります。このような状況では胎児の尿の産生が減り、その結果、羊水が減少していきます。

妊娠37週以降であれば、これ以上の子宮内での発育をなかなか期待できないので分娩を誘発することになります。羊水過少をともなうようであればさらに早期の分娩も考慮されます。胎児の発育の不良を指摘された場合には主治医の指示に従いましょう。

Q8

妊娠後期の出血の種類と対処法を教えてください

検診を受ける女性

妊娠後期の出血の原因として前置胎盤と常位胎盤早期剥離があります。前置胎盤は胎盤が子宮の出口を覆う状態を指します。陣痛や子宮収縮が起こらなくても突然出血することがあり、出血が多量であれば母体が出血性ショックを起こすこともあります。

また出血量が多いと胎内死亡に至ることもあります。前置胎盤は超音波断層法の普及からほとんどの場合で分娩までに診断がついていますので、起こりうる事態の説明も受けているでしょう。

少量の出血でもその後に多量に出血する場合があるので、すぐにかかりつけの病院を受診しましょう。常位胎盤早期剥離は生まれる前に胎盤が子宮壁から剥がれる状態を指します。

性器出血が先行することもありますし、腹痛が先行しその後出血をきたす場合もあります。この常位胎盤早期剥離は予測が困難で、特にリスクの見当たらない妊婦さんでも発症します。

やはり出血が多量となり、血液が固まらない(凝固しない)状態に容易に陥ります。多量の輸血が必要になります。胎児は胎盤が剥がれることで酸素の供給が絶たれるために胎内死亡に至ります。早期の治療が予後を左右しますので、腹痛や出血を認めた場合はとりあえずすぐに受診しましょう。

Q9

おなかが大きくて寝苦しいです。おすすめの寝方はありますか?

妊婦が楽に寝れる体制

後期になると妊娠子宮が増大し、骨盤の臓器を圧迫します。横隔膜も押し上げられます。その結果深い呼吸がしづらくなり息苦しさも感じることでしょう。また増大した子宮はあおむけ(仰臥位)に寝ると下大静脈と下行大動脈を圧迫しますので、血液の還流が悪くなり、血圧低下を起こすことがあります。

このような状態を仰臥位低血圧症候群と呼びます。母体の血圧が低下すると、子宮への血流も減少しますので、胎児が低酸素状態に陥ることがあるます。従ってあおむけで寝るのはおすすめできません。

できれば左側臥位で寝てください。右を挙上し、左を下にすることで増大した子宮が移動し、下大静脈と下行大動脈の圧迫が避けられます。自動車での移動の際にもあおむけの姿勢であまりシートを倒しすぎないように心がけましょう。

杏林大学医学部付属病院は、女性の生涯を通しての健康をサポートし、きめの細かい医療サービスを提供する理念のもとに、多摩地区の拠点病院として産婦人科の3大領域である、周産期医療、婦人科腫瘍、生殖医療のすべてにおいて高度な医療提供体制を備えています。外来においては通常の外来の他に、各専門医(指導医)が中心となって臨床遺伝外来、腫瘍外来、不妊・内分泌外来といった特殊外来を行っています。

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