産後に関するQ&A 教えて!たまgoo!

産後に関するQ&A

赤ちゃんを産んだ体は考えている以上に相当な体力を消耗します。また、元の体に戻ろうと急激な変化が起こったり、体の異常が生じたりします。

たまgoo!では、杏林大学医学部付属病院と共同で、産後に関するQ&Aをお届けいたします。

Q1

出産後はどれくらいで退院できますか?

母親と退院する赤ちゃん

出産後は疲労も蓄積しています。出産時の出血もあります。傷の痛みもあるでしょう。赤ちゃんの黄疸や先天代謝異常症の検査も控えています。これらを考慮し、分娩後4〜5日目まで母児の様子を見て、経過に問題が無ければ退院していただいています。

普通分娩は自費診療であり、入院期間も必ずしも決められたものがあるわけではありませんが、出産後4〜5日目で退院する施設が多い様です。ちなみに米国では出産の翌日に退院します。これは医療制度と慣習の違いによるものです。

出産時の出血量は普通分娩なら多くて500ml程度ですが、妊娠中には循環血液量が増え、子宮胎盤側にも血液がプールされています。出産後にはこのプールされた血液が母体側に戻り、出産時の出血の埋め合わせをします。従って極端に貧血になることはありませんので、医学的には退院してもかまわない状態です。会陰部の傷も深いもので無ければ入院を長引かせる必要もありませんので、これらの不安材料が無くなれば退院は可能です。

出産の経験のある女性であれば、赤ちゃんの取り扱いにも慣れているでしょうから、初産の女性より早めの退院も可能でしょう。いつ頃退院するかは担当医と相談して決めると良いでしょう。

Q2

悪露とは?産後いつまで続きますか?

お腹を押させる女性

悪露とは分娩後に性器から排出される分泌物のことを指します。胎盤及び卵膜の剥離面から滲出物に加え、子宮頚管からの分泌物や腟からの分泌物が混じり、悪露として腟口から排出されます。産褥(出産後のこと)4日頃までは赤色悪露と呼ばれ、その大部分が胎盤の剥離面からの出血や分泌物です。

産褥5日頃から14日頃までは褐色悪露と呼ばれ、色調に変化が起こります。この時期になると胎盤や卵膜の剥離面からの出血量が減少するため、色が薄まります。産褥14日頃以降はさらに出血量が減ります。また分泌物には白血球が混じり始め、色調も褐色からやや透明な黄色調に変化します。

産褥1ヶ月頃には悪露も減少し、ほとんど認めなくなる場合もありますが、褐色の悪露が残ることもあり、少量であれば異常とは言えません。産後1ヶ月健診で子宮の復古状態を確認しますが、子宮内に血液の貯留や妊娠産物の遺残物が無ければ褐色悪露も自然に透明になり、1~2週で消失します。

Q3

産後の倦怠感や関節痛がひどいです。産後うつでしょうか?

育児で困惑する母親

出産は大変体力を消耗しますので、産後しばらくは倦怠感が残ります。また分娩の為に骨盤の関節は緩みます。その影響で痛みが生じることがあります。例えば出産後に恥骨結合部分を痛がることはよくあります。

また分娩時には手や足を踏ん張ったりしたので、筋肉痛やら関節痛も多少残ります。もっともこれらは経過とともに改善します。

産褥期(出産後)に発症する精神疾患にはマタニティーブルーズと呼ばれる一過性の軽い抑うつ状態と産褥精神病があります。これらの精神疾患も身体症状として疲労を伴いますが、大きな違いは情動障害や認知障害が伴うことです。マタニティーブルーズは産褥3〜10日に発症します。

一過性の情動不安定な状態で、涙もろくなったり、集中力が低下したり、不眠になったりします。入院中の育児のアドバイスやカウンセリングで多くが対処可能で、自然に軽快します。中にはそう鬱状態などの産褥精神病がふくまれていることがありますので、注意は必要です。そう鬱状態は産褥精神病の大半を占めます。

育児や授乳に対する不安を訴え、不眠、疲労感を伴います。そう鬱状態では自然に軽快しないことも多く、早期診断の為にも専門医(精神科医)の診察が必要になります。出産された本人が進んで診察を希望されるケースはあまりありません。担当医師や家族が本人の変調を早めに気づいてあげることが大切です。

Q4

帝王切開で出産したのですが、傷跡がかゆくてたまりません。いつ頃治まりますか?

帝王切開の傷

帝王切開の切開創部の治癒過程でかゆみが生じることがよくあります。創部の治癒過程は炎症期、増殖期、成熟期に分けられます。炎症期には創部の細菌感染の予防や止血、上皮再生を再生するためにリンパ球や、好中球、血小板が集まります。

リンパ球の一部から細胞増宿因子が産生され、これが繊維芽細胞を呼び寄せ、受傷後ほぼ2日で上皮が覆われます。この時に集まった血小板や、傷ついた組織からかゆみや痛みを生むヒスタミンやブラッジキニンが放出されるためにかゆみが出てきます。

次に創部での繊維芽細胞の増殖がさらに促され、増殖期に移行します。繊維芽細胞はコラーゲンを産生し、リンパ球の一つであるマクロファージから血管を新生させるタンパク質も分泌され、コラーゲン繊維組織の中に血管が生まれ、肉芽組織が形成されてきます。

増殖期はほぼ3週間続き、帝王切開後に問題なく退院して3〜4週経過し、1ヶ月健診を受ける頃までです。この頃から患者さんの中には傷跡が赤くなりかゆみが現れる人が出てきます。これが肥厚性瘢痕で、この時期の傷跡のかゆみの原因です。これは増殖期のコラーゲン繊維組織が過剰に産生され、表面に目立ってきたものです。

放っておいても次第に吸収されますが、中には広がっていくものがあり、赤く盛り上がってかゆみや痛みも伴います。これはケロイドと呼ばれます。最近、これを予防するシリコンゲルシートが購入できるようになりました。退院後からこのシートを創部の貼付しておくと肥厚性瘢痕やケロイドが目立たなくなり、かゆみも予防できます。

Q5

産褥熱とは?産後いつまで続きますか?

発熱した女性

産褥期感染症の中で、出産時に生じた子宮や腟外陰の傷口の感染症が原因で、出産後24時間以降から10日以内に2日間以上38度以上の発熱が続けば産褥熱と呼びます。抗菌薬の投与で多くは2~3日で解熱します。しかしながら産褥熱を来す細菌は腸内細菌から嫌気性菌まで多岐にわたるため、ある抗菌薬がカバーできない細菌感染症では発熱が遷延します。

より広域のスペクトラムを持つ抗菌薬や菌種に合わせた抗菌薬に変更する必要が出てきます。こうなると抗菌薬の投与が1週間以上必要になります。そのほかに発熱を来す疾患に尿路感染(腎盂腎炎)や乳汁鬱滞などがありますので、これらとの区別が必要となります。

Q6

体重が元に戻りません。気をつけるポイントはありますか?

産後太り

妊娠中の理想的な体重増加の範囲が7~14kgほどです。出産直後の体重減少は5kg程度です。その内訳は新生児の体重(3~4kg)、羊水(0.5kg)、胎盤(0.5kg)です。その後2週ほどでむくみが消え、さらに体重が減少します。

しかしながら妊娠中に増えた3kgほどの脂肪分があるため、その後の体重減少は緩徐となります。1ヶ月検診時に妊娠前の体重に戻るのは少数で、出産して1年後にも妊娠前に比べて体重が1〜2kgは増えたままになっているようです。

産褥期には授乳が必要であれば授乳に見合うようにエネルギーを付加する必要があります。一般的な日本人女性の場合、1700~1,800kcalほどのエネルギーが必要ですが、授乳婦の場合は450~700kcalの付加が必要となります。従って2,200kcalから2,500kcalほどのカロリー摂取となります。

一方、非授乳婦の場合、それほどエネルギー付加は必要ありません。ほとんどが母乳でまかなえれば2,200kcalから2,500kcalほどのカロリーを摂取しても体重はあまり増えませんが、非授乳婦の場合にはカロリー摂取に気を配らないと、体重が本当に戻りません。

最近では産後に体重が減少しないまま妊娠すると次子の死産や乳児死亡が増加するとの報告もあります。従って、特に非授乳婦では糖質の過剰摂取は止め、適切なカロリー摂取と運動が必要になります。出産後半年から1年で妊娠前の体重に戻すことを目標として頑張りましょう。

Q7

出産してから痔がさらにひどくなり、便秘になってしまいました

お腹が痛い女性

妊娠中は増大した子宮の影響で静脈還流が妨げられるので痔が悪くなることが多いです。出産後は子宮の復古は比較的早く進むために、静脈の還流障害がなくなり痔は軽快することが多いようです。また子宮復古が進むと腸も子宮からの圧迫が解除され、便通は良くなります。

プロゲステロンという腸の動きを抑えていたホルモンも出産後には劇的に減少するため、便通は良くなります。出産後に痔や便秘の悪化は稀ですので、悪化した場合には専門医を受診しましょう。

Q8

抜け毛がひどく、洗髪する度に大量の毛が抜けます。出産の影響でしょうか?

髪の毛が気になる女性

妊娠中はエストロゲンというホルモンが増加します。このエストロゲンは毛髪の成長を促進するため、毛根が縮小し抜ける時期(休止期間)が短縮します。従って、妊娠中には髪が増え豊かになります。

しかし、出産後にエストロゲンは急速に減少します。そうなると毛髪は休止期間に入り、髪が抜ける量が急に増えます。主産後に髪をすくとき、櫛に髪がたくさん残るのはこのためです。この影響はしばらく続き、1年ほど妊娠前に状態に戻ります。

Q9

産後のセックスはいつ頃から大丈夫ですか?月経はいつ頃、始まりますか?

カレンダー

通常、1ヶ月検診時に子宮の復古状態(戻り具合)や出血、縫合部を観察し入浴などを含めて普通の生活にもどっても構わないと説明されていることが多いと思われます。ただし縫合部の治りは1ヶ月過ぎても続き1年ほどかかると言われています。従って傷口が大きかった場合にはしばらく機械的刺激は避けたほうが無難でしょう。

セックスの開始は育児にも慣れ、肉体的にも回復が進んだ産後半年を目安にしたらいかがでしょうか。また授乳をしているとプロラクチンというホルモンが分泌されますが、このホルモンが排卵を抑制します。すると出産後は排卵や月経が起こりづらくなります。これを授乳性無月経と呼びます。

無月経の期間は授乳の期間にもよりますが、人工乳との混合で授乳を行っていると排卵が早めに起こることもあります。非授乳婦であればほとんどで4ヶ月以内に排卵があり、月経が再開します。

Q10

産後の子宮脱が心配です。予防法や治療法はありますか?

不安がる女性

子宮脱とは子宮が腟内に下降し、時に腟入口部から飛び出す状態を言います。骨盤臓器脱の一つで、子宮脱以外には膀胱脱や直腸脱があります。原因は子宮を支えている靭帯、筋肉や膜が損傷と考えられています。

出産時には子宮を支える靭帯、筋肉や膜が損傷することもありますので、子宮脱の原因にもなります。ただし、産後にすぐ子宮が下垂することは稀です。また妊娠中のエストロゲンというホルモンの影響で靭帯、筋肉や膜が緩みやすくなります。

もっともホルモンの影響は産後にはすぐ無くなりますので緩みやすさは無くなりますが、妊娠出産を繰り返すとさらに子宮を支える靭帯が緩んだり傷ついたりしますので、次第に支えられなくなり子宮脱が目立ってくるようになると考えられます。これを予防するには子宮を支える骨盤底の筋肉を鍛える体操を行います。

肛門挙筋を鍛えることで子宮の支持を補強します。これは尿失禁の防止にも効果があります。また過度な腹圧をかけるのも子宮を支える靭帯に負荷を与えますのでなるべく避けるようにします。例えば重い荷物を持ち上げるような作業を控えましょう。また肥満も子宮脱の発症のリスクとなりますので授乳、非授乳の区別なく体重管理は大切です。

杏林大学医学部付属病院は、女性の生涯を通しての健康をサポートし、きめの細かい医療サービスを提供する理念のもとに、多摩地区の拠点病院として産婦人科の3大領域である、周産期医療、婦人科腫瘍、生殖医療のすべてにおいて高度な医療提供体制を備えています。外来においては通常の外来の他に、各専門医(指導医)が中心となって臨床遺伝外来、腫瘍外来、不妊・内分泌外来といった特殊外来を行っています。

この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。

アプリで
たまGoo! がもっと便利に

iPhone,AndroidのアプリでたまGoo!が便利に。

たまGoo!が便利なアプリになりました。
ちょっとした時間にチェック、電車の中でもサクサク快適。
たまGoo!をより近くに感じてください!

トップへ戻る