首都圏の中学受験で「サンデーショック」という言葉があるのをご存じでしょうか。数年に一度、プロテスタント系の学校が試験日をずらすことで、受験生が通常の年とは異なる動きをする現象を指す言葉です。
2020年に小学1年生であるお子さん、特に女の子が中学入試に臨む2026年は、サンデーショックの年に当たります。今回は、サンデーショックが起きる背景やどのような現象が起きるのか、またその対策についてご紹介します。
受験日がズレる「サンデーショック」
東京・神奈川の中学入試の解禁日は毎年2月1日。難関校の多くがこの日に入試を実施します。しかし2月1日が日曜日に当たる場合、プロテスタント系の学校は「安息日は原則として活動を行わない」ことを理由に、入試日を翌日などにずらす傾向にあります。
一部の学校の入試日がずれることで、受験校選びに影響が出る受験生がいたり、競争率が例年とは異なる動きを見せる学校が出たりするため、これを「サンデーショック」とよんでいます。
東京女子御三家が併願可能になる!
プロテスタント系の学校は女子校が多いことから、サンデーショックの影響を受けるのは女子の受験生です。特に、「東京女子御三家中学」として知られる桜蔭中学・女子学院中学・雙葉中学を志望する受験生にとっては、大きな関心事です。
最近のサンデーショックは2015年に起こりました。上記3校はいずれも2月1日に入試を行いますが、プロテスタント系の女子学院中学校は1日が日曜日に当たった2015年は試験日を翌日の2日にずらしました。通常なら御三家のうち1校しか受けることができません。しかしサンデーショックの年は「桜蔭―女子学院」または「雙葉―女子学院」という併願が可能になったのです。
次回のサンデーショックは2026年です。今年、小学校に入学した2013年4月~2014年3月の子どもたちが受験する年ですね。
2月2・3日入試とプチサンデーショック
サンデーショックと似た状況に「プチサンデーショック」というものがあります。これは、毎年2月2・3日に入試を実施している学校が、日曜日の入試を避けることです。理由はサンデーショックと同様、プロテスタント系の学校が日曜日を安息日としていることからです。
2月2日に入試を行うプロテスタント系の学校には、人気が高い青山学院中等部と東洋英和中学校があります。両校とも、2日が日曜日に当たる場合は、3日に入試をずらします。
実を言うと、2020年はプチサンデーショックの年でした。次回は2030年(2月3日入試)、2031年(2月2日入試)なので、ずいぶん先になります。
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サンデーショックが与える影響とは
「サンデーショックやプチサンデーショックって、影響を受けるのは対象となる学校を受験する子どもだけじゃないの?」と思う保護者の方が多いかもしれません。しかし中学受験をする場合、第一志望校以外に複数の学校を受けることが多いです。サンデーショックの年には、女子御三家を受験する層の動きが通常とは異なるので、注意が必要です。
難関校受験生の動向が通常と異なる
サンデーショックの年は、女子御三家のひとつである女子学院中学の入試日がずれることで、「桜蔭―女子学院」「雙葉―女子学院」という併願が可能であると先に述べました。
本来は同一日程の3校に成績上位の子どもが散らばるところが、サンデーショックの年には2月1日は桜蔭・雙葉の2校に集まり、2日の女子学院には桜蔭・雙葉の併願者が出現する状況になります。
実際、桜蔭・女子学院・雙葉の志願者数を見ると、2014年とサンデーショックの2015年とでは変化が見られます。
2014年
学校 | 出願者数 | 応募倍率 | 実受験者数 | 合格発表数 | 実質倍率 |
桜蔭 | 514 | 2.1 | 501 | 262 | 1.9 |
雙葉 | 351 | 3.5 | 338 | 113 | 3.0 |
女子学院 | 744 | 3.1 | 714 | 284 | 2.5 |
2015年
学校 | 出願者数 | 応募倍率 | 実受験者数 | 合格発表数 | 実質倍率 |
桜蔭 | 655 | 2.7 | 629 | 271 | 2.3 |
雙葉 | 519 | 5.2 | 501 | 147 | 3.4 |
女子学院 (2/2入試) |
971 | 4.0 | 873 | 340 | 2.6 |
3校とも、2015年は2014年よりも応募倍率が上がっていることがわかります。また女子学院中学は2015年の合格者を大幅に増やしています。これは、桜蔭・雙葉と併願されることを想定したものと考えられます。
サンデーショックにより、受験日を2月1日から2日に移動させる学校は、女子学院中学の他にもあり、2015年では東洋英和女学院(A日程)、立教女学院、横浜女子御三家(フェリス・横浜共立・横浜雙葉)などがありました(東洋英和女学院はA・B日程で生徒を募集する)。
2月2日入試校の志願者数にも影響が
サンデーショックによる受験日の移動は、もともと2月2日に入試を行う学校にも影響を与えます。サンデーショックにより、通常よりも2月2日に受験できる学校が増えるため、日程を変更していない学校の出願者数が、例年に比べて減少するのです。
たとえば女子御三家中学に次ぐ人気と進学実績を誇る豊島岡女子学園中学はもともと2月2日に入試(3回募集のうちの1回目)を実施しています。サンデーショック前後の出願者数をまとめると、以下のようになります。
年 | 出願者数 |
2014年 | 1,133 |
2015年 | 828 |
2016年 | 1,110 |
もともと2月2日に入試を実施する他の女子校や共学校においても、サンデーショックの年は女子の志願者数が減少する傾向にあります。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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